教育現場リポート「いま子どもたちに必要な力」第1回:「基礎基本」(2)英語で育む「会話を深める力」

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教育現場リポート「いま子どもたちに必要な力」

第1回テーマ:「基礎基本」

(2) 英語で育む「会話を深める力」

〜埼玉県春日部市立春日部中学校・木村進先生

木村進先生
木村進先生

 「I want to be an illustrator in the future. Because…」
(私は将来、イラストレーターになりたいです。なぜなら…)

 埼玉県春日部市立春日部中学校(全校生996人、山西実校長)で行われた2年生の英語の授業。生徒たちは6〜9人ずつのグループになり、一人ずつ<将来の夢>という課題について考えてきた内容を発表する。発表が終わるとすかさず、他の生徒から英語で質問が飛んできた。

 

「What does the illustrator do ?」
(イラストレーターって何をする人ですか?)

 想定外の質問に、発表した生徒が困惑していると、両隣の生徒から助け舟が入り、何とかイラストレーターの仕事について説明することができた。
 同校では通常の教科書を用いた授業以外に、1、2年でこうした英会話の時間がある。2年では「リーディング」や「ライティング」とともに3週おきのローテーションで、「コミュニケーション」の時間として組み入れられている。

 授業は毎回ほぼ決まっていて、
<100パターンの会話が生徒ごとに順番を違えて書かれてあるドリル>
<事前に与えられたテーマに基づく発表>
<発表に対する質問と回答>
<教員やALTを交えた発展的会話へのチャレンジ>
 の4点セット。

 英語主任の木村進先生は「会話の深まり」を注視しながら授業を進める。何かひとつのテーマに沿って自分の考えや意見をまとめ、その発表を通して会話の場面を作る。そうした繰り返しを通じて英会話のルールやテクニックを学び、英語表現上の間違いは、会話を続けよう、深めようという姿勢の中で自ずと修正されていくという。


 木村先生が赴任した2000年、同校は県内でも英語の先進校と言われていた。しかし、授業をしてみて驚いた。自己紹介では、自分の名前や好きな食べ物などを話すだけ。教科書に出てくる買い物の場面の会話をさせてみると、教科書通りではできても、店の設定を変えると途端にできなくなってしまう。

「例えば、相手の表情や様子をみて眠そうだったら『Are you sleepy?』と聞いてみるとか、臨機応変に対応してこそコミュニケーション」
 木村先生は、この場面ならこういう言葉を使えばいいというパターンを習得し、そのバリエーションを広げていく工夫の必要性を痛感した。

「英語のみならず、日本語の自己表現力がなさを多くの教員が感じていた。質問する側もされる側も、相手の表情や態度から理解されているかどうかを感じ取り、<どうすれば伝わるのか?>を考える。そんなコミュニケーション力を、あえて英語というツールを介して学んでいく」
 木村先生はそんな授業を目指す。

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