Pick UP 教育データ 第34回 学力格差が広がったと感じる教員が6割を超える
BERD教育情報通信 教育リポート
  PAGE 1/1
Pick UP教育データ

ベネッセがこれまでに行なってきた様々な調査・研究データのなかから
編集部おすすめの情報をセレクトしてご紹介します

第34回

学力格差が広がったと感じる教員が6割を超える

今年の2月に発表した「第4回学習指導基本調査」(ベネッセ教育研究開発センター)の結果では、小中学校の教員の学力向上に対する意識が強くなっていることがわかりました。こうした意識の背景には、子どもの学力が深刻な状況にあると受けとめられていることが考えられます。これは一人ひとりの子どもにとっても、日本社会の将来にとっても重要な問題です。  (初出2008/2/20:教育情報サイト)

 教員の6割以上が、学力格差が広がったと感じている

まずは、「第4回学習指導基本調査」の結果から、二つほどデータを紹介します。どちらも小学校の教員の意識についてです(中学校教員のデータは省略しますが、同じ傾向を示しています)。

図1は、児童集団の学力水準や学力格差が数年前と比べてどう変わってきていると思うか、尋ねた結果を示したものです。これを見ると、約4割の教員が「学力水準は低くなった」と答え、6割以上の教員が「学力格差が大きくなった」と答えています。「学力水準は高まった(5.9%)」や「学力格差は小さくなった(1.2%)」と考える教員はごくわずかになっています。
実際の小中学生の学力については、昨年、「全国学力・学習状況調査」が始まったばかりですので、全国規模での変化が客観的にわかるデータはほとんど存在しません。しかし、現場教員の実感としては、子どもの学力が下がり、かつ、学力格差が広がっていることを感じているようです。

【図1】 児童の学力水準、学力格差に対する意識(小学校教員)



図1
出典:「第4回学習指導基本調査」(2007 ベネッセ教育研究開発センター)
次の図2は、1998(平成10)年の調査と2007(同19)年(今回)の調査で、指導にあたって教員が大切にしていることに関する意識の変化を見たものです。「勉強が苦手な子どもには、別の能力を伸ばしてやること」よりも「どの子どもにも、できるだけ学力をつけさせること」を大切にしていると答えた小学校の教員は、98年は79.2%だったのが、今回の07年では91.8%になっています。そのほか、この図で取り上げた左側の項目はいずれも増加しているのですが、特に「不得意な教科や領域の学力をつけさせること」は、「得意な教科や領域の学力を伸ばすこと」よりも大切と考える教員が、98年の42.8%から07年の72.0%と3割近く増えています

【図2】 授業や生活指導で大切にしていること(小学校教員、98年と07年の比較)



図2
出典:「第4回学習指導基本調査」(2007 ベネッセ教育研究開発センター)
こうした教員の指導に対する意識の変化は、図1で見た学力水準や学力格差に対する実感と関係しているように思います。全体として学力が下がり、さらに成績の上位と下位の子どもの差が広がるなかで、何とか学力の下支えをしたいという意識が表れているのではないでしょうか。このような教員の問題意識が各学校での努力によって実を結ぶことを期待したいですが、それに加えて、二つほど考えたいことを挙げたいと思います。

一つは、子どもの学力の変化があるとすれば、学習意欲という面も含めて考えると、背景には家庭や地域の教育力の変化が影響している可能性が高いという点です。保護者のかたにとっては、「これ以上、何を努力すれば良いのか?」という思いもあるかもしれません。しかし、前回のレポートで「学力実態調査」のデータで示したように、家庭学習と学力には関係があることがわかっています。

もう一つは、昨年の後半に発表された文部科学省による「全国学力・学習状況調査」やOECDによる「PISA(生徒の学習到達度調査)」の結果が示すように、日本の子どもに不足しているのは知識などの基礎学力というよりも、思考力や判断力、表現力といった知識を活用する力だという点です。先ほど見たデータは、どちらかといえば基礎学力を下支えすることに意識が向いている印象を受けますが、これからは学力向上という方向性の中で、どういう学力を伸ばすのかを考えていく必要があります。

知識を活用する力を伸ばすための指導方法や教材は、十分に開発されているわけではありません。社会の変化のスピードやその求めの強さに、日本の学校が十分にこたえることができるかは、これからの取り組みしだいです。その取り組みが成功するためには、学校の教員や保護者だけでなく、たとえば、教科書や教材、テスト問題を開発している企業、塾や教室の講師なども含めて、子どもの教育に関わるものすべてに、それぞれの立場での努力が求められていると考えられます。
<参考>
これからの日本の教育を考える 〜PISA2006の結果公表を受けて〜
(PISA2006生徒の学習到達度調査の結果に関するセンター研究員解説記事)
全国学力調査の結果について」
(全国学力・学習状況調査の結果に関するセンター研究員解説記事)

 おすすめ関連情報

【調査データ検索】下記バナーから、ベネッセ教育研究開発センターが蓄積してきた独自の調査研究データを、自由にご覧いただくことができます。

調査データ検索
  PAGE 1/1
バックナンバーへ BERD教育リポートトップ