教育フォーカス

【特集13】大学での学びと成長 ~卒業生の視点から振り返る

[第2回] 卒業生のキャリア意識と大学時代の成長実感 ―大学における「キャリア教育」推進の今後のあり方- [6/10]

3.卒業生のキャリア意識と大学時代の成長実感(4)

(4)卒業生のキャリア意識と大学時代の成長実感から浮かび上がる「キャリア教育」の成果

これまでの分析より得られた知見をここで一度小括し、そこから浮かび上がってきた「キャリア教育」の成果を推察してみたい。

第一に、「専門性」「社会貢献」を仕事に対して望む卒業生は、世代を問わず大学時代の成長実感が強いという点である。また「困難への挑戦」「自律」「社会貢献」を望む卒業生では、「キャリア教育」が大学に浸透している(しつつある)環境で大学生活を送った若手層が、就職指導中心の環境で大学生活を過ごしていたシニア層よりも明らかに成長実感が強い。「困難への挑戦」「自律」「社会貢献」は、「キャリア教育」が目指すところでもあり、その一定の成果が「大学時代の成長実感」として表れていると推察される。

第二に、「人生」「職業」「家庭」に対するキャリア成熟と大学時代の成長実感には、世代を問わず関連がみられ、キャリア成熟度が高い卒業生には、大学時代の成長実感を明確に持つ人が多いという点である。ただし若手層とシニア層での大きな差異はみられず、大学における「キャリア教育」の成果をこの点から推し測ることは難しいと言わざるを得ない。

第三に、世代を問わず、大学時代の成長実感が強い卒業生ほど、卒業大学での経験を現在の「自分の土台」と感じていたり、卒業大学に「誇り」や「愛着」を持っているという点である。若手層では、大学時代の成長実感が強い卒業生ほど、卒業大学に「他者(大学進学を考える人)にすすめる価値」も見出しているが、この点を「キャリア教育」の成果として捉えるのは少々無理があるように思う。

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