教育フォーカス

【特集14】「問いのデザイン」でアクティブ・ラーニングの「種」を育てる

【導入編:3】研修会の成果と課題 [1/2]

アクティブ・ラーニングの研修会を終えて約1か月半後の2015 年10 月、栗本嘉子校長とコアメンバー4人によ る座談会を開きました。研修会の振り返り、研修会後のそれぞれの変化について語り合っていただく中で、アクティ ブ・ラーニングを校内に広めていくためのポイントと課題が見えてきました。

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アクティブ・ラーニングの実践例を普段から伝え、敷居を低くする

問いの工夫は、教科を超えて、アイデアを共有し、話し合える

─ 先生方はコアメンバーとなった当初、アクティブ・ラーニングについてどのように思っていましたか。

鳥山:栗本校長からコアメンバーの話をいただいた頃まで、私は「アクティブ・ラーニング」という言葉に具体的なイメージを持っていませんでした。どのような新しい指導方法なのかと身構えましたが、さまざまな実践例を聞くうちに、アクティブ・ラーニングは特定の指導方法のことを指すのではなく、生徒がいきいきと自ら学習するようになることを目的として行うのだとわかりました。

中村:塩瀬先生からうかがったお話の他に、関連する書籍を読み、さらに校外の研修に参加する中で、次第にその内容を知るにつれ、アクティブ・ラーニングを自分の授業でももっと取り入れたいと思うようになりました。生徒たちが活発に話し合い、自分たちの力で学習を進めていく姿を見ることで、アクティブ・ラーニングの有効性を初めて実感できました。

─ 研修会で学んだことや印象に 残ったことを教えてください。

黒岩:「よい問い」を他のグループに問いかけるグループワークは、大きな学びがありました。自分たちがよい問いだと思っても、相手が回答につまったり、的外れな答えが返ってきたりして、「よい問い」は対象によって変わるのだと気づきました。問いかけ方について客観的に考える重要性を実感しました。

板谷:私たちのグループの場合、「よい問い」にするためにつけた制約が抽象的で、かえって答えにくくなっているのだと気づき、より具体的な問いに言い換えるようにしました。

中村:これまで、自分の問いかけに生徒からよい反応があっても、その要因まで考えたことはありませんでした。「問いをデザインする」という発想で問いを振り返り、今後の問いづくりに生かしたいと思います。

栗本:今回、教科横断で問いのデザインを学び、「よい問い」と「わるい問い」の条件を共に考える活動を通じて、問いの工夫が教科の壁を超えて検討できるテーマなのだと実感しました。よい問いをつくることは容易ではありませんが、大掛かりな準備が必要なものでもありません。まずは、この問いのデザインを切り口にして、アクティブ・ラーニングを広められればと期待しています。

学校全体で教員の取り組みを共有することが大切

─先生方の実践からアクティブ・ラーニングの種を見つけるグループワークの手応えはどうでしたか。

板谷:私が発表した貝合わせの取り組みでは、自分で想定していた社会科や数学科以外でも、「理科では貝の解剖ができる」「家庭科では貝を使った調理実習ができる」といったアイデアがたくさん出てきて、予想以上に他教科に広がる可能性を実感しました。自分が行いたい指導を他教科の先生方に相談することで、自分の発想を超える広げ方を知ることができると思いました。

黒岩:数人の先生から「実践の成果を校長室の横のボード(生徒が取り上げられた新聞記事などを紹介するコーナー)に掲示してはどうか」と提案され、各先生の取り組みを校内で共有することが重要なのだと感じました。私が紹介した取り組みも、実は先輩の先生が行っていた指導をアレンジしながら積み重ねてきたものです。アクティブ・ラーニングを学校全体の動きに発展させていくためには、この研修会のように、自身の指導を他教科の先生に知ってもらう場がもっと必要なのかもしれません。

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