子育てや家事にかける時間、自由に過ごせる時間といった、母親・父親の生活のあり方を見ていきます。なお、本調査では、「子育てをする時間」(以下、子育て時間)を、調査の対象となる子どもと過ごす時間(睡眠時間を除く)と定義しています。
子育て時間・家事の時間ともに、母親・父親で大きな差が見られ、平日では、母親のほうが圧倒的に長くなりました(図17・図18)。休日では、父親の子育て時間・家事の時間は全体的に平日よりも長くなりましたが、それでも、母親よりは短い傾向がありました。
父親の平日の子育て時間は、帰宅時刻と密接に関係しています。20時より前に帰宅する父親では、2時間以上子育てをするという人が3割を超えたのに対し、20時台以降に帰宅する父親では、子育て時間が1時間未満であるという人が増える傾向がみられました(図19)。
一方、自由に過ごせる時間は、母親のほうが短くなる傾向があり、特に平日では、母親の約3割が、自由時間が全くなかったり、30分未満しかなかったりしていました(図20)。
調査結果からは、子育て・家事ともに、母親が中心的に担っているという現状がうかがえます。実際、生活における負担感を尋ねたところ、母親からは、「自分の自由にできる時間が十分にとれない」「子育ての負担が大きい」「家事の負担が大きい」といった回答が目立ちました(図21)。また、仕事をしている母親・父親では、「仕事と家庭生活の両立が大変である」が半数を超えました。
そうした課題はあるにせよ、夫婦関係については母親・父親ともに肯定的に捉える傾向が強く、「あなたと配偶者は幸せな結婚生活を送っている」は90%以上、「あなたと配偶者は子育てや家事をよく助け合っている」は80%近くを占めています(図22)。生活全体についても、母親・父親ともに90%以上が、幸福感を抱いていました(図23)。その回答を分析したところ、母親の幸福感には、「夫婦関係の良好さ」や、野澤先生の話題提供で言及された「子育て肯定感」の高さなどが関連していることが分かりました。
また、夫婦関係や子育てにかかわると考えられる要因間の関連を分析したところ(図24)、子育て肯定感は、母親の生活全体の幸福感や妊娠期の配偶者との協同、産後のネガティブ感情と関連があり、子育て肯定感の高さが、ポジティブな養育行動をもたらし、ネガティブな養育行動を低減させている可能性が示唆されました。
つまり、ポジティブな養育行動の実現には、妊娠期の夫婦の協同性を高めたり、母親の産後の大変さを軽減したりする支援を通して、子育てに前向きな気持ちや自信(子育て肯定感)を育むことが大切であるといえるかもしれません。
【特集21】赤ちゃんの生活と育ちを追う〜乳幼児の生活と発達に関する縦断研究の挑戦〜
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