2018年に実施された「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」では、日本の子どものメディア利用について、学習目的での活用が少ない一方で、1人用ゲーム機で遊ぶ時間やチャットの利用が多い傾向があることが明らかになっています。このように、国によってメディアの使い方が異なる中で、日本の子どもについての検討が大切と考え、今回、家庭でのメディア利用に注目した分析を行いました。
まず、家庭でのメディア利用時間を見ると、学校段階が上がるほど、メディアの利用時間が長くなっていました。ただ、使われるメディアの種類は異なり、テレビやDVDは小学生、テレビゲーム機や携帯ゲーム機は小学校高学年、携帯電話やスマートフォンは高校生、パソコンやタブレットは中学生の利用時間が長いといった特徴がありました。
このメディア利用時間と、学習時間、睡眠時間、成績との関連を分析すると、メディア利用時間は、それ以外の変数と負の相関がありました。また、成績は、学習時間と正の相関があり、睡眠時間と相関はありませんでした。これらの結果は、小学生・中学生・高校生でほぼ同じような結果でしたが、相関係数はそれほど大きくはありません(図4)。
次に、デジタル機器の学習利用の状況を見ると、学校段階が上がるほど活用頻度は高く、小学生・中学生・高校生に共通して、「勉強のことをインターネットで調べる」「宿題以外の勉強をする」は、成績との正の相関がありました。また、自分専用の機器があるほうが学習によく活用されていることもわかりました。特に、「勉強のことをインターネットで調べる」「メールやSNS(LINEなど)で友だちにわからないところを質問する」では、自分専用の機器があるほうが、活用頻度が高くなっています(図5)。
では、こうしたメディア利用は、成績にどのように影響しているのでしょうか。「テレビ・DVD」「ゲーム」「携帯電話・スマホ」「PC・タブレット」の利用時間やメディアの学習利用の状況を独立変数に、翌年の「成績」を従属変数にして重回帰分析を行いました。すると、「テレビ・DVD」の利用時間が小学生でマイナスの影響が見られたり、「勉強のことをネットで調べる」が小学生と高校生でプラスの効果があったりといった結果は見られましたが、総じて成績への影響はわずかで、小学生・中学生・高校生に共通した特徴はありませんでした(図6)。データからは、メディア利用が成績に与える影響は、それほど大きくないことがわかります。
●勉強のことをインターネットで調べる
図5 専用機器の有無とデジタル機器の学習活用 クリックで拡大します
※6種類のデジタル機器(パソコン、タブレット、携帯型音楽プレイヤー、携帯電話、スマートフォン、ネット接続できる家庭用ゲーム機)のうち、1つでも自分専用のものがあれば「あり」とした。
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