教育フォーカス

【特集33】大学教職員向けウェビナー「大学生の主体的な学びを促す授業・環境のデザイン」開催リポート

報告6 実践の繰り返しが、成長を促す

伊藤羊一

武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部 学部長
伊藤羊一

東京大学経済学部卒業。株式会社日本興業銀行、プラス株式会社を経て、2015年ヤフー株式会社入社、Zホールディングス株式会社に商号変更後、Zアカデミア学長として、次世代リーダーを育成。グロービス経営大学院客員教授、株式会社ウェイウェイ代表。2021年より現職を兼務。主著に『1分で話せ』(SBクリエイティブ)、『FREE, FLAT, FUN これからの僕たちに必要なマインド』(KADOKAWA)等。

 ベネッセ教育総合研究所の調査結果を見て、自分からやりたいことを探す積極的な大学生が3割(図7)しかいないことに課題を感じています。

【図7】入学時の積極性(基調報告資料 14P) クリックで拡大します

 ただし、主体性を伸ばすために、探究活動だけに着目するのも問題だと思います。全体のシステムや目指すべき資質・能力など、ゴール設定まで含めて考える必要があるでしょう。
 2021年4月、武蔵野大学がアントレプレナーシップ学部を立ち上げた背景には、そうした課題意識があります。アントレプレナーシップは、起業家精神を意味する言葉ですが、本学部では、「高い志と倫理観に基づき、失敗を恐れずに踏み出し、新たな価値を創造していくマインド」と定義し、すべての人が持つべき資質だと考えています。
 本学部の最大の特長は、現役実務家による実践中心のカリキュラム(図8)と、1年次で必須の寮生活です。実際に社会で実践しなければ、学びは身につかないというのが私の持論です。やってみて、言葉にして、どういった意味があるかを仲間とともに考え、もう1度トライしてみるといった繰り返ししか、成長するすべはありません。
 そうした実践を積み重ねるうちに、学生も教員も「人の夢を笑わない」という雰囲気ができてきました。「どうせ無理」と言わず、「自分はこうしたい」と口にできる環境が、実践を促す上で大切だと、改めて感じています。

【図8】武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の特長 クリックで拡大します

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