教育フォーカス

【特集8】「一人一台環境における学びの自立を支援する学習モデルの検討」研究より

[第1回] 一人1台のタブレットを活用した家庭学習で、自ら学ぶ子どもを育てる  [2/5]

◎ 子ども同士をつなぎ、学び合いを生み出す

稲垣:三つめは、子ども同士の学び合いを促すツールとしての活用です。すでに授業では、教員が意図的に設計した、いろいろな形の学び合いが行われています。それに加え、友だちの行動を見て、「面白そうだから、自分もやってみたい」と感じたり、分からないことを自分から友だちや教員に聞いたりするといった、内面からわき上がった思いを持って個々が呼応し合う学び合いを促したいという思いがあります。これは、一つめに挙げた自立した学習者の育成とも関係があり、自分の考えややり方を持っているからこそ、他者とのかかわりの中で「他の人に聞いてみよう」「友だちの考えややり方が面白い」というような学びや気づきが生まれる可能性があると考えています。

稲垣

四つめは、家庭学習を支援することで、授業での学習のあり方を考え直す機会にしたいという思いです。総務省が行った「フューチャースクール推進事業」実証校の中にも、タブレットを家に持ち帰り、学習の続きに取り組んだり、反転授業のように予習をして学校に持ち寄ったりする事例が見られました。学校と家庭の学びの連携が進んだ結果、子どもが教員と対面して学び合う学校の授業に何が求められるのか、問い直しが起きる可能性があります。

もう一つ付け加えると、一人1台のタブレットはへき地支援としても大きな可能性を秘めています。へき地では学校の統廃合が進んで通学区域が広がっているため、学校が終わると子どもはすぐにスクールバスなどで帰宅することがあります。友だちの家が遠くて遊びに行けず、家に帰ると一人でゲームをして過ごす子どもは少なくありません。地方の方が子どもは友達と外で遊んでいるというイメージは、必ずしも正しくないのです。一人1台のタブレットがあれば、学校や家庭をつなぐネットワーク環境が整えられ、家庭でも友だちとつながりながら学べるようになります。教育的に大きなプラスの効果を期待できるでしょう。

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