シリーズ 未来の学校

軽井沢の豊かな自然と多様性の中で、変革を起こせるリーダーを育てる

【前編】 ISAKサマースクール2013から考える、グローバルリーダー教育の今 [2/4]

 多様性を担保する取り組み

今回取材した『ISAK SUMMER SCHOOL 2013』は、2010年から同校が毎年実施している「体験プログラム」の4回目で、開校前にその教育理念を「見える化」することを目的としている。今年は、チリ、フィジー、香港、インド、インドネシア、ネパール、パキスタン、パレスチナ、フィリピンなど、世界19カ国・地域から95名の生徒が参加。応募者は373名で、合格倍率は約4倍に達した。対象年齢は、来年の開校を見据えて中学2, 3年生に相当する生徒たちだ。

一方、教員たちもそれぞれに経験豊富で多彩な陣容だ。数学担当教員はマサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学で最優秀教授賞を受賞したマレーシア出身教員、歴史担当は中国・ドーハ・イギリスのインターナショナルスクールで実績を積んだ米国出身教員、国際バカロレア日本語教育のスペシャリストである日本人教員など、"多様性"を教員の側からも担保しようとしている。

また、裕福な家庭の生徒でなければ参加できないことを避けるため、全体の約4割の生徒に奨学金を給付しているところも特長だ。そして、今年は有名建築家の設計による本校舎と寮が竣工し、リーダーシップを身につけるためのインフラも整ってきたところである。

 リーダーシップを身につけるための3つの力

今回のサマースクールでは、リーダーシップを身につけるために、特に「3つの力」を養成することを目的としている。その3つとは、

『多様性への寛容力』

生活習慣も社会的、経済的バックグラウンドも異なる仲間との生活のなかで、互いに共感を高めながら協業することを学ぶ。

『問題設定能力」

物事を俯瞰し、領域を超えて考える力を身につける。与えられた問題の解を導く能力だけでなく、自ら問題を発見する力を養う。

『リスクをとる力』

守られた環境に計算されたリスクをちりばめ、生徒がチャレンジすることを奨励。失敗を恐れない精神を鍛える。

サマースクールでは、授業、寮生活の至るところに、この3つが仕掛けられているのである。

 サマースクールに1日密着取材

今回取材班は、ISAKのサマースクールを1時限目から就寝に至るまで、その様子を丸一日密着取材した。取材して強く心に残ったのは、いずれの授業も先生から生徒への一方的な講義ではなく、常に双方向のコミュニケーションを重視する授業であることだった。

今回はこのなかから、「リーダーシップ」の授業を取り上げたい。「リーダーリップ」は、ISAKが目指す「次世代をリードできる子どもたちの育成を目指す」ことに直接つながる授業であり、同校の教育プログラムの特徴を説明するのにとても適しているからだ。

ページのTOPに戻る