シリーズ 未来の学校

秋田県発、 リベラルアーツ教育がグローバル人材を輩出する

【前編】 国際教養大学が実践する、英語で学ぶリベラルアーツ [5/6]

 恵まれた環境を活かすのは自分次第

AIUの新入生は全員、入学から1年間大学敷地内にある学生寮「こまち寮」で生活する。本学の1年生、菅原みのりさんも海外留学生のルームメイトと共同生活を送っている。地元秋田県出身の彼女に、大学生活についての話を聞いた。

「今は英語力を身につける授業、リーディング、スピーキング、リスニング、ライティングをEAPで学んでいます。物事を多角的な視点で見られるように、土台づくりをしている最中です」

授業で出される宿題は、個人に与えられるものに加えて、クラスメイトとペアで課されるものもある。ペアで課される作業は「ペアワーク」とよばれ、例えば「リーディング講座」では、与えられた英文素材を読み、段落ごとに要約して理解を深めていくという授業の準備を学生2人で行う。これらの宿題をこなすには毎日5時間程度掛かり、就寝は午前2時ぐらいだという。

「いろいろなことを多くの海外留学生とともに英語で学びたい」、菅原さんが入学前に望んでいたことだ。入学した今、実際にはどうだろうか。

「入学する前は、たくさんの留学生と自然に仲良くなるイメージだったのですが、実際にはそんなことはないですね。自分から動いていかないと留学生の友達はできないです。英語を話す環境も自分次第です」

菅原さんは、最近になって自分から話しかけるようになり、留学生の友達もできたという。9月からは新しいルームメイトの留学生もやってきた。今回特別に女子寮の菅原さんの部屋にお邪魔した。

 新入生は海外留学生と共同生活

こまち寮は、大学敷地内で講義棟や食堂と繋がっていて、外に出ることなく行き来できる。菅原さんにインタビューを行ったカフェテリアから彼女の部屋まで歩いて約2分。部屋にはルームメイトのキラ・オルセンさんがいた。現在、EAPで鍛えている英語力で、彼女からキラさんに話をきいてもらった。

 菅原 「米国のどこから来たの?」
 キラ 「ミネソタ州から」
 菅原 「そもそも、なぜ日本へ?」
 キラ 「興味はあったけど、よく知らないから一度来てみたくて」
 菅原 「日本のイメージは?」
 キラ 「みんな礼儀正しくて、いい人が多いかな」
 菅原 「寮生活をしたことある?」
 キラ 「米国の高校も大学も寮だったよ」
 菅原 「ここの寮生活はどう?」
 キラ 「部屋が狭い(笑)。でも、寮で共同生活することは、人間の成長にとってはいい経験だと思う」
 菅原 「勉強の方はどう?」
 キラ 「この大学の先生は教鞭経験も豊富だし、授業スタイルは先生が一方的に話すのではなく、ディスカッションをして、学生ともやりとりがあるので楽しいな」
 菅原 「この1年間でやってみたいことはある?」
 キラ 「日本人のことをもっと知りたい。ある授業の課題で小説からマンガを描かなくてはいけないんだけど、それも頑張りたい」
 菅原 「頑張ってね」
 キラ 「まあ、今日はじめてその授業を受けたんだけどね(笑)」

キラさんと菅原さんが共同生活するようになってまだ1カ月足らずだが、ふたりは打ち解けているようだ。笑顔で仲良く話す彼女たちのやりとりは、とても微笑ましかった。 

ページのTOPに戻る