シリーズ 未来の学校

秋田県発、 リベラルアーツ教育がグローバル人材を輩出する

【後編】 ワールドクラスのリベラルアーツカレッジを目指して [4/7]

 地域に開かれた大学へ

2009年2月、AIUは秋田県大仙市との国際交流に関する連携協定を結び、大仙市内の小・中学校および就学前児童との交流が始まった。大曲南中学校との異文化交流プログラムもその一環だ。大仙市教育委員会の高橋規子(たかはしのりこ)氏と大仙市企画部の佐藤梓(さとうあずさ)氏に話を聞いた。

─ AIUと大仙市の交流活動の背景を教えてください。
 高橋 
「もともとAIUでは地域貢献ということで、学生たちが県内のいろいろな地域に出掛けて行事に参加していました。中学校における総合的な学習の時間で異文化理解を促進する授業にも参加協力してくれていました。そんななか、栗林大仙市長は初代学長の中嶋学長と懇意だったこともあり、市内の保育園・幼稚園から中学校までの子どもたちが交流活動できるようAIUと協定を結んだのです」

─ どのような狙いがあるのですか。
 佐藤 
「AIUの留学生と交流することで、直接異文化に触れ、互いに異なるものを受容する心やコミュニケーション能力を養い、グローバル社会に対応できる人材を育成する狙いがあります」

─ 1年にどれくらいの数の交流活動をしているのですか。
 佐藤 
「平成21年度以降、65件、69件、74件、69件、53件と昨年度までの件数は出ています。昨日、みなさんが取材された大曲南中学校のように生徒が大学を訪問する場合もありますし、学校などが留学生を迎える場合もあります」

─ AIUとの交流から何を得られますか。
 高橋 
「留学生を通しての交流だけではなく、AIUの先生方から英語教育全般についてサポートもしていただいています。今、秋田県が英語教育に力を入れているので、様々な取り組みをしています。その1つがAIUの先生による小学校教員の外国語活動研修です。大仙市教育委員会もお世話になっています」

─ AIUの先生は、具体的にはどのような指導をしているのでしょうか。
 高橋 
「現段階では、外国語活動の指導に不安なく取り組めるような研修をしてくださっています。しかし、小学校で英語が教科になっていく5・6年生の指導については大仙市もまだ課題もあると捉えています。つまり、元々英語教員の免許があるわけではない小学校の先生方に対して、どのように英語のスキルを身につけてもらうかとか、教科化される2020年までにどのように指導体制を構築していくかという視点でアドバイスをいただいております。この件は国としても考えていくところだと思いますが、AIUと共同研究的に進めていきましょう、という話も出ています」

異文化交流プログラム以外にも、AIUと大仙市は新教育課程を見据えて新しい取り組みを考えている。大学の先生が小学校の先生に指導方法を公に伝授するという話はあまり聞いたことがない。AIUは地域に開かれた大学、地域とともに歩む大学として認められているようだ。

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