次世代育成研究室

研究室トピックス

乳幼児の「スマホ」利用で
保護者が工夫していることとは

~「第2回 乳幼児の親子のメディア活用調査」結果から~

2017年12月26日 掲載
 ベネッセ教育総合研究所 次世代育成研究室

関連タグ:
子育て ICT スマートフォン 母親

クリップする

前回は、乳幼児のスマートフォン利用に関する実態を紹介しました。今回は、スマートフォンをはじめとするメディアを乳幼児に利用させる際に、保護者がどのような点に留意しているのかについて、最新の調査データから考えます。家族でメディアを視聴する機会の多い年末年始の過ごし方の参考になれば幸いです。

 

子どものスマホ利用時の工夫、
第1位は「長時間見せない」

ベネッセ教育総合研究所が2017年に行った調査の結果によると、乳幼児にスマートフォンを使わせる場合に、保護者が工夫しているのは主に以下のような点でした。。

【図1】子どもがスマートフォンを使う場合の主な工夫(自由記述)



第1位は「長時間見せない」でした。第2位は「使用させない環境をつくる」、第3位「親と一緒に使う」、、、と続きます。それぞれの具体的な工夫は各家庭で異なると思いますが、全体的にスマートフォンの見すぎや見る時の環境に気を配っている保護者の様子がうかがえます



子どものメディア利用の
メリット・デメリット、保護者はこう見る

次に、スマートフォンというハードではなく、テレビ番組やインターネット動画といったコンテンツ面に注目して保護者の意識を見てみましょう。下の【図2】は、テレビ番組やインターネット動画・画像を見せることについて感じるメリットとデメリットを、回答が多い順に並べたものです。
 

【図2】 子どもにテレビ番組やインターネット動画・画像を見せることのメリット・デメリット


  

メリットもデメリットも、上位2,3項目はメディアの種類を問わず共通の傾向であるようです。デメリットについては、「目や健康に悪い」、「夢中になり過ぎる」、「長時間の視聴や使用が続く」が回答の上位3項目を占めています。これらは、【図1】(子どもにスマホを利用させる際の工夫)の上位項目と対応しており、保護者は、子どものメディアで気になることについては対策を講じようとしている様子がうかがえます。


今回の調査の監修にあたった、BPO(放送倫理・番組向上機構)青少年委員会の委員長で白梅学園大学学長の汐見稔幸先生は今回の調査の結果に対して、「スマホが乳幼児の生活に、世間で懸念されているように深く入り込み、依存症状などを生み出しているのではないか等を慎重に調べましたが、結果はそうではなく、乳幼児が長時間利用している家庭はごくわずかであり、乳幼児のメディア利用に対して社会の方が過度な心配をしなければならない、という結果ではありませんでした」と解説しています。子どもたちのメディア利用について、今後は時間(量)だけを気にするのではなく、その使い方(質)が問われる時代に入ってきたと言えそうです。

 

*乳幼児の親子のメディア活用実態・保護者の意識に関する調査結果の詳細を、こちらからご覧いただけます。ご活用ください。

 

【「第2回 乳幼児の親子のメディア活用調査」調査概要】

調査方法:インターネット調査 (第1回は郵送法)
調査時期:2017年3月 (第1回は2013年3月)
調査対象:0歳6か月~6歳までの就学前の乳幼児を持つ母親3,400名
※子どもの年齢別の内訳は、0歳児後半 388名、1歳児515名、2歳児515名、3歳児515名、4歳児515名、5歳児515名、6歳児437名
(第1回は0歳6か月~6歳までの就学前の乳幼児を持つ母親3,234名。子どもの年齢別の内訳は、0歳児後半 569名、1歳児521名、2歳児436名、3歳児448名、4歳児438名、5歳児421名、6歳児401名)
調査地域:東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県
調査項目:家庭でのメディア所有状況/子どもの1週間のメディアの使用頻度・時間・時間帯/アプリ・ソフトの使用状況/スマートフォン・タブレット端末でしていること/親子で決めているメディアのルール/保護者による子どものメディア使用やアプリ・ソフトへの意識/保護者自身のメディア使用状況/地域との付き合い/子育て意識 など
※ 第1回と第2 回で調査方法が異なるため、経年比較では2013 年の無答不明を除いて表示している

ページのTOPに戻る