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小さな子どもとメディア
親と子のメディア研究会
最新!メディア研究ニュース
ここでは、「小さな子どもとメディア」についての最新の研究をご紹介します。
菅原ますみ先生の研究レポート(第1回) 赤ちゃんと幼児の新しいテレビ・ビデオ視聴の研究について
菅原ますみ先生
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科心理学講座教授
菅原ますみ先生写真
Q 赤ちゃん、幼児の発達とテレビ・ビデオ視聴の関係を調べる研究とは?

 これまでは、過去の調査から「赤ちゃんがテレビとどう付き合っているのか」という視聴の実態はある程度わかっていましたが、乳幼児の言葉や社会性の発達に、メディアなどの環境がどのように影響を与えるのかという点についての関係を証明するのは難しいことでした。しかし、子どもに関する発達科学や心理統計学の進歩などによって、学術的に方法論が進化してきたこともあり、因果関係を推定することができるようになってきました。
 方法論として大切なのは、まず、同じ子どもを追跡調査して、テレビ・ビデオの視聴が本当に発達に影響するのかどうかの直接的な関係を見ていくことです。例えば、ある年に生まれた子どもについて、どんな番組をどのくらい見ているのか、その見方を含めて、それらがその時々の心身の発達にどう影響を及ぼすのかを、時間を追って追跡することが必要です。
 もうひとつは、子どもの発達には親の育て方や人とのコミュニケーションなどいろいろな環境要因がかかわっていますので、それらの要因を一緒に測定していかないとメディアの本当の役割が見えてこないという点です。そのため、メディア研究者を中心として、発達心理学、教育学、小児医学、大脳生理学など、複数の領域の専門家が知恵と方法論を出し合い、研究していくことが大事だと思います。
 調査結果は、内容によって短期で結果が出るものと、中・長期的な時間がかかるものがあります。後者だと、10年以上必要な場合もあります。例えば、短期であれば、「歩行の始まるまでと後での影響の違い」など、中長期であれば、「幼児の頃に接したメディアの思春期の発達に及ぼす影響」などがそうです。


菅原ますみ先生写真
Q 赤ちゃん、幼児の言葉とメディアとの関係について

 私たちの始まったばかりの乳幼児とメディアに関する長期追跡調査(※1)では、約1100人の子どもについて2つの時点(0歳、1歳)での調査結果がでてきています。それによると、乳幼児の生活時間の配分を考え、発達に必要な活動をバランスよくしていくことが大事だということがわかってきました。メディアだけの効果よりも、テレビやビデオを長時間見ることで、言葉の発達にとって必要な他の行動、例えば絵本を読んでもらうことや外遊びなどの時間が制限されてしまうという生活バランスに問題がある可能性が出てきたのです。メディアに長時間接していても、絵本読みや外遊びをたくさんしているお子さんには特に影響はないということもわかりました。
 また、0歳から1歳までの親のかかわり方と、メディアからの語彙習得の効果については、「見ているテレビの内容について、親子で一緒に話をする」ことに効果があることがわかり、さらに「子どもとよく話している」という養育行動も語彙の習得にプラスの効果を持つことがわかりました。
 これまでの研究から、幼児の語彙習得には、次の3点が複雑に絡み合っていると考えられます:(1)子どもの言葉の発達に重要な対人的コミュニケーション (2)絵本や文字盤などの活字メディア (3)実際に触ってみるなどの実体験
  絵本にしろ、テレビ・ビデオや外遊びでも、そこでおこなわれる親子の言語的コミュニケーションが言葉の発達をうながす鍵をにぎっているのかもしれません。今後の私たちの研究の中でも、詳しく検討していきたいポイントのひとつです。

Q メディアとの上手な付き合い方とは?

 まず、子どもの生活の中で、子どもの育ちにとって良い活動がどれくらい含まれているかを各家庭で点検してみてはいかがでしょうか。活動の中身も重要です。親子で楽しくいい時間を過ごしていることが、子どもの発達(言葉)にもいい影響を及ぼすでしょう。親子でコミュニケーションをとりながら上手にテレビ・ビデオなどのメディア媒体を使うことが大切だと思います。
  もうひとつは、子育てストレスとの関係です。いい内容のメディアを適切な時間で上手に子育てのお助けツールとして使えば、親子で過ごす時間的・精神的余裕が親に生まれてくることが期待できますし、子どもも良いひとときを過ごすことになり、結果として、子どものいい発達につながるのではないでしょうか。

(※1)「子どもに良い放送プロジェクト」NHK放送文化研究所
 
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