現代は、メディアの存在なしには成り立たない社会であり、赤ちゃんや小さな子どもたちは、好むと好まざるとにかかわらず、メディアに囲まれた環境を当然のものとして受け止め、育っています。最近ではテレビだけでなく、携帯電話・インターネットやテレビゲームなども普及し、多くの子どもたちが日々進歩する新しいメディアに接しながら生活しています。したがって、発達の活発な小さな子どもに対して、メディアがどう影響するかを考えるのは、子どもの成長と発達にとって特に重要なことです。
赤ちゃんは、生まれながらにして新しいものに強い好奇心を示す存在であり、新生児の行動から見ても、生まれながらの「インフォメーション・シーカー」といえるでしょう。当然のことながら、テレビの画面も大好きですし、0歳児からテレビを見ていることが各種調査によって明らかになっています。私が代表を務めた「テレビがある時代の赤ちゃん」の研究報告(放送文化基金)によると、生まれて間もない始めのころはテレビに無関心ですが、1か月も経つと、音楽が聞こえたときに、テレビの方向をチラッと見るようになり、さらにテレビがチラチラするので、やがて赤ちゃんはそちらに視線を向けるようになります。そして、お座りするようになるとテレビをじっと見入るようになり、そのうち音楽に合わせて体を動かし始めます。番組内容がそれなりに理解できるようになるのです。続いてハイハイをするようになると、テレビに近付いていくようになり、そして、つかまり立ちしてテレビのスイッチを触るようになるのです。子どもは特別に教えなくても、不思議なことに自然にメディアをマスターする力を持っているように見えます。 |