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小さな子どもとメディア
親と子のメディア研究会
最新!メディア研究ニュース
ここでは、「小さな子どもとメディア」についての最新の研究をご紹介します。
菅原ますみ先生の研究レポート(第2回) 赤ちゃんと幼児の新しいテレビ・ビデオ視聴の研究について
菅原ますみ先生
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科心理学講座教授
1歳で増えたテレビの接触量は2歳になると減っていきます

 私たちがずっと続けている、乳幼児とメディアに関する長期追跡調査(※1)の中で、新たにわかってきたことがいくつかあります。ひとつは、子どものテレビ視聴時間についてですが、0歳から1歳になって増えたあと、2歳では減るということです。つまり、子どものテレビの接触量は、どうも1歳がピークらしいんですね(※2)。一方で、子どもたちの外遊びの時間を調べた別のデータを見ると、2歳は、1歳のときよりも外遊びに費やす時間が増えています(2歳で1日あたり103分)。2歳になると、1歳のときよりも子ども自身の身体能力も発達するので、外で遊ぶ時間が増えるのでしょうね。可処分時間がおよそ4〜5時間のこの時期の子どもたちの生活の中で、外遊びに平均1日1時間半以上費やしているというこの結果は、おうちのかたのがんばりが現れていると思います。やはり、テレビの映像や音がまったくない世界での、外遊びや絵本の体験はとても大切なものなので、この調査結果は喜ばしいですね。

(※1)「子どもに良い放送プロジェクト」NHK放送文化研究所
(※2)「乳幼児期のテレビ接触量(乳幼児がいる部屋でテレビがついている時間)」の調査で、平均して0歳:約193分、1歳:約205分、2歳:約162分(1日あたり)という結果が出ました。


子どものテレビの視聴態度は家庭の「習慣」が決める

 また、テレビの視聴というのはやはり家庭の「習慣」に負うところが大きいという結果も出ました。0歳のときテレビ接触量の多い家庭は、1歳、2歳の時点でもやはり多いし、逆に、0歳で接触量が少ない家庭は、1、2歳でも少ないままなのです。子どもが生まれる前は大人自身も意識しないままテレビに接触していることが多いのですが、子どもが生まれたら、新しいテレビの習慣というものをあらためて考えるべきではないか、と感じました。「テレビがなんとなくいつもついている」という生活が子どもにとっての既成事実になる前に、テレビとの付き合い方をもう一度考えておくことは、とても意味があると思います。

見ているテレビについておうちのかたが話しかけることによい効果が

 子どものテレビ接触量をコントロールするのには、どういう態度が有効か?についても調査しています。これには2つの側面があり、ひとつは取り込み口、つまり映像メディアにふれる時間と内容への親の監督と統制です。ここでの調査結果で言えるのは、「テレビを見ているそばで文句を言ってもあまり効き目はない」ということ。あとから口でいくら言ってもあまり視聴時間は短くならず、やはり見ていい番組といけない番組をきちんと選んで見せる、ということをしないと、子どものテレビの接触量は減らないということがわかりました。

 もうひとつの側面は、子どもが見ているものに対して、親がどのようにかかわっていくかということ。これについては、子どもが見ている番組を親もいっしょに見る「共視聴」だけでは、視聴時間が短くなることはありませんでした。むしろ有効なのは、「見ているテレビの内容について親がコメントを加える」ということ。この頻度が高い家庭は、1歳時と2歳時での獲得語彙数も多いということがわかりました。しかも、子ども自身が0歳のうちから、見ているテレビについて話しかけていた家庭では、1歳時点で発話にあらわれる語彙数も多かったのです。もちろん語彙数というのは発達の一側面でしかありませんが、せっかくテレビを見るのならそこに親が言葉を添えてあげるほうが発達にプラスの面があるということですから、うまく活用していけるといいですね。

テレビとのよりよい付き合い方を考えるひとつのきっかけに

 進行中の調査の全体像を見ると、子どもの発達にとってテレビは、一般に心配されているほどの絶対的な悪者でもないということも見えてきます。子どもの発達に影響する要因は、ほかにも、子どもの気質や環境などの多くのものがあるのです。しかし、テレビが子どもの大事な時間を使うものであることは事実です。現代の子どもと親の生活にテレビは切っても切れない存在。どうせ付き合うなら、よりよい活用をしたいですよね。そういう意味で一度、「食事中にテレビを消す」ことを試してみてはいかがでしょう。調査ではこの「親が食事中にテレビが消せるか消せないか」という項目が、子どものテレビの接触量に大きく関係していることがわかりました。絶対に見てはいけない、ということではなく、こういうところからテレビとの付き合い方に少し意識的になってみることはいいのでは、と思います。
 
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