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報告書の内容
本報告書は、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が共同で行う「子どもの生活と学び」研究プロジェクト(親子パネル調査)の一環として2020年に実施した「中高生のコロナ禍の生活と学びに関する実態調査(略称:中高生コロナ調査)」の成果をまとめたものです。
本プロジェクトで実施している、2019 年と2020 年の「子どもの生活と学びに関する親子調査(親子調査ベースサーベイ)」(いずれも7~9月実施)、ならびに2021年3月に高校3 年生の子どもを対象にした「卒業時サーベイ」の結果を組み合わせてみることで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による休校前、休校中、休校後、卒業時(高3 のみ)の4 時点の変化を追跡しました。
本報告書は、パネル調査の特徴である継続性を生かして、休校前後の中高生の意識や行動を明らかにしています。そのことは、学校や学校外の教育機会が子どもたちにどのような意味や価値を持っているのかを考える、一つのきっかけを与えてくれています。
調査概要(中高生コロナ調査)
●調査テーマ 休校時期や学校再開時期の子どもの意識と実態
●調査方法 WEBを用いた自記式質問紙調査。郵送による依頼で、都合のよいデジタル端末による回答
●調査時期 2020年8~9月
●調査対象 全国の中学1年生~高校3年生までの子ども
●発送数・回収数(回収率) 中学1~3年生:発送数4,561名・回収数2,340名(51.3%)。高校1~3年生:発送数4,215名・回収数1,776名(42.1%)
※依頼の発送は「Wave6」(2020年の親子調査ベースサーベイ)と同じ対象者に行っているが、宛先不明者などがあり、「Wave6」の発送数とは一致しない
※各章の分析の目的や視点により異なるが、本報告書でもっとも多く使われている分析対象者数は、「中高生コロナ調査」と「Wave6」の双方に回答した中学生・高校生3,775名
報告書の目次
はじめに
目次
第1章 コロナ禍が中高生に与えた影響を明らかにする―調査の目的と概要―(木村 治生)
1.はじめに
2.コロナに関連する教育政策
3.調査の目的と概要
4.「中高生コロナ調査」の回答者の基本属性
5.各章の構成
第2章 中高生の休校中の生活時間―休校になると生活はどう変わるのか―(木村 治生 ・ 朝永 昌孝)
1.はじめに
2.睡眠時間の変化
3.メディアの利用時間の変化
4.人とすごす時間の変化
5.学習時間の変化
6.部活動の時間の変化
7.おわりに
第3章 休校中の学習の実態―休校による学びの格差にどう対応するか―(木村 治生)
1.はじめに
2.休校中の宿題の様子
3.休校中の学習指導に対する評価
4.休校中の家庭学習の様子
5.おわりに
第4章 休校期間中の家庭学習に対する中高生の取り組み(小野田 亮介)
1.はじめに
2.中高生は家庭学習で何を学び、経験していたか:学習内容の分析
3.中高生は休校期間中の家庭学習をどう捉えているか:学習に対する認識の分析
4.休校期間中に生徒はどのように学習していたか:学習方略の分析
5.おわりに
第5章 コロナ禍休校における学習を支える―学校と保護者の役割に着目して―(佐藤 香)
1.はじめに
2.学校の指導
3.休校中の保護者の対応
4.学校の指導タイプと保護者の対応との関係
5.おわりに
第6章 長期休校後の中高生の心境―喪失、困難、不安にみる新型コロナウイルス感染拡大の影響―(大﨑 裕子)
1.はじめに
2.学校再開以降の中高生の心境
3.どのような生徒がより大きな影響を受けたのか
4.おわりに
第7章 コロナ禍における中高生の入試に対する不安と進路選択の意向
―中学3年生、高校3年生の回答から―(山口 泰史)
1.はじめに
2.分析に用いるデータと質問項目
3.中高生は、入試への不安や進路選択の意向をどのように抱いているか
4.おわりに
第8章 コロナ禍を中高生はどのように受けとめたのか―自由記述の回答に着目して―(佐藤 昭宏)
1.はじめに
2.属性別にみるコロナ禍の受けとめ方―クロス分析を中心に
3.中高生のコロナ禍の受けとめ方に関する自由記述のテキスト分析
4.おわりに
第9章 コロナ禍での高3生の進路選択
―「高校生活と進路に関する調査」(卒業時サーベイ)より―(岡部 悟志)
1.はじめに
2.「高校生活と進路選択に関する調査」(2020 年度)のねらいと概要
3.コロナ禍での高3生の進路選択の実態と特徴
4.ポジティブな反応の背景にある理由
5.依然として残る進路選択における格差
6.おわりに
【column】コロナ禍は学校の意味をどう変えたか(松下 佳代)
第10章 コロナ禍は子どもの生活と学びになにをもたらしたのか(耳塚 寛明)
1.はじめに――問題
2.格差への注目
3.データ
4.休校と生活時間
5.休校による学びの格差
6.学校をプラットホームとした支援を
7.おわりに――デジタル・デバイドの克服を
【調査票および集計表に関して】
資料
調査内容
基礎集計表