アクティブ・ラーニングを活用した指導と評価研究

<目標>これから求められる資質・能力と学びとは

本研究では、社会で求められる力「これから求められる資質・能力」について、文部科学省新学習指導要領の審議、世界における先行研究からのグローバルな観点、及びベネッセのこれまでの知見をもとに、この分野における国内外の有識者の方々にアドバイスいただきながら整理をしました。

※以下の内容は、新学習指導要領の答申等をふまえて、2017年6月に改訂いたしました。

●「これから求められる資質・能力」とは

本研究では、必要となる育成すべき資質・能力を、以下の要素に整理しました。
能力要素は、

  • ●自律的活動力や自他理解など学び続けるための基盤となる「態度・価値観」
  • ●コラボレーション力や創造的・批判的思考力、学び方といった「スキル」
  • ●各教科等を通じて習得する「知識」

があげられます。
加えて、自らを俯瞰的・客観的に捉える「メタ認知」は、様々な活動の場面において発揮することが求められ、全体を通じて必要な能力として位置づけられます。

この資質・能力は相互に関係しながら育成されるものであり、これらの力を総動員して活動できることが大切です。
図1では、学習者が活動する状態を「回るコマ」に見立て、それぞれの関係性を整理してみました。 コマの本体を「知識」×「スキル」と捉え、経験が積みあがることによってコマがだんだん大きくなります。また、コマが回るためには芯=「態度・価値観」が必要になり、学習活動を支えます。
さらに、「メタ認知」が働くことで、コマの状態を俯瞰的に捉えてまわり方を調整することができるようになります。


図1.これから求められる資質・能力(回るコマに例えると)

図1.これから求められる資質・能力要素(回るコマに例えると)

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表1は、さらにそれぞれの能力要素を詳細化したものです。文部科学省の新学習指導要領の答申で示された「育成を目指す資質・能力の三つの柱(※)」、「学力の三要素」にも対応しています。

※「学びに向かう力、人間性等」「思考力・判断力・表現力等」「知識・技能」


表1.「これから求められる資質・能力」(一覧表)

表1.「これから求められる資質・能力」(一覧表)

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本研究では、この整理に基づき指導と評価の研究を行っていきます。また同時に、研究活動に伴いこの整理自体もブラッシュアップしながら、教育現場に即した情報をご提供していくことを目指していきます。

 

●子どもたちのどのような状態を目指すのか

子どもたちには主体的な学習者として活動しながら能力を伸ばしていくことが求められますが、そのためには能力を単独で捉えるだけでなく、それぞれの関係性をトータルで捉えていくことが大切となります。

子どもたちが「主体的に活動している状態」=「コマが回り続けている状態」と考えると、 活動し続けるためには「知識×スキル」(コマ本体)がバランスよく育っていることが必要であり、それを支える「態度・価値観」(芯)がしっかりしていることが基盤となります。また、社会と接点を多様にもつことで自己の目的やビジョンが磨かれていきます。

そして、それぞれのペースで活動する(コマが回る)ことで、自分らしい形・色、表現をするコマになり、個々の特性や能力を活かした成長をしてほしいと考えています。


図2.主体的な学習者として活動し続けるためには

図2.主体的な学習者として活動し続けるためには

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●どのように学ぶのか

こうした能力を育むためには、学習過程全体を見渡すことが重要です。
新学習指導要領でも、「主体的・対話的で深い学び(「アクティブ・ラーニング」)の視点から学習過程の改善」が重視されています。

このような視点からも、以下のような活動を通じて学ぶことで、必要な力を身につけていくことが求められます。

  • ●3つの能力を総動員して(コマが回ることで)、アクション(課題解決・創造)を行う
      さらに、アクションの結果、資質・能力の育成・習熟が図られる
  • ●「自己の成長・形成」は、外界(社会・他者)とのかかわりの中で発達する
      社会の問題を協同で解決したり、実際にアウトプットしながら学ぶ
  • ●活動した結果を自ら考え、自己の学びへフィードバックしながら学ぶ
      自ら目標設定をし、活動の結果、自信を得て自己形成されたり、関心自体が変わったり広がったりする
      ゴールを通じて次のゴールを設定しながら学ぶ

図3.これからの学びのプロセス

図3.これからの学びのプロセス

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●この資質・能力を育むために、どう指導・評価したらよいのか

 



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