教育フォーカス

【特集30】大学教育学会第44回大会 ラウンドテーブル 「コロナ禍が学生の学びと成長に与えた影響〜大規模調査から大学教育の今とこれからを考える〜」リポート 〜「第4回 大学生の学習・生活実態調査」結果より〜

2022年6月、大学教育学会第44回大会が開催されました。そこで行われた14のラウンドテーブルの1つとして、2021年12月に実施したベネッセ教育総合研究所「第4回 大学生の学習・生活実態調査」の結果を基に、コロナ禍が大学生の学びと成長に与えた影響に関する考察が報告されました。本記事では、その内容をリポートします。

調査目的

コロナ禍による環境変化は、大学生の学びや成長にどのような影響を与えているのか

 「大学生の学習・生活実態調査」は、2008年から定期的に実施している大学生を対象とした大規模調査です。調査の目的は、大学生自身の変化に加え、小・中・高校の教育の変化、大学教育改革、社会の変化など取り巻く環境の変化が、大学生の学びと成長にどのような影響を与えているのかを検討することにあります。本調査を行ったベネッセ教育総合研究所の木村治生主席研究員は、今回の第4回調査の趣旨を次のように説明しました。
 「本調査では、同じ質問を継続して尋ねることで定点観測をしながら、その時々での環境変化を捉えるための質問も設けています。第4回調査(2021年調査)では、第3回調査(2016年調査)の結果で見られた大学教育改革の影響に加え、コロナ禍の影響を調べました。本調査の結果から、どうすれば大学生の学びを充実させ、成長を促すことができるのか、大学教育の今と未来について検討したいと考えています」

「大学生の学習・生活実態調査」概要

・調査対象 全国の大学1〜4年生
・調査方法 インターネット調査(毎回の調査条件は同一にして実施)
・調査時期・サンプル数
第1回 2008年10月 4,070名 調査報告書はこちら
第2回 2012年11月 4,911名 調査報告書はこちら
第3回 2016年11〜12月 4,948名 調査報告書はこちら
第4回 2021年12月 4,124名 調査報告書はこちら

本調査の関連記事は、下記からご覧いただけます。
※特集10「高大接続の再設計~高校・大学、大学入試はどう変わるべきか」では、高大接続のあり方について紹介しています。
※特集13「大学での学びと成長~卒業生の視点から振り返る」では、大学卒業生への調査結果を基に、大学教育のこれまでとこれからを紹介しています。
※特集17「『学びと成長のプロセス』を可視化する」では、大学生の学びについて、4大学との共同研究の結果を紹介しています。

調査概要

第4回大学生の学習・生活実態調査 データ集

ラウンドテーブル概要

調査メンバーのうち4名が、それぞれのテーマで大学生の現状や変化について考察を発表した後、調査報告の総括、会場からの質疑応答・議論を行いました。

報告1「学生と大学教育の13年間の変化」ベネッセ教育総合研究所 主席研究員 木村治生

報告2「学生像のとらえ直し—生徒化は進行しているのか?—」青山学院大学 教授 杉谷祐美子

報告3「コロナ禍における大学生の人間関係」芝浦工業大学 教授 谷田川ルミ

報告4「学生の学びと成長を促す対面・遠隔のベストミックスを探る」関西大学 教授 山田剛史

総括コメント 大阪大学 特任教授 川嶋太津夫

質疑応答・議論

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