ベネッセ教育総合研究所の調査結果では、母親の子育てへの否定的感情が増加しており、特に近年、働く母親の育児負担感や不安感が増えている。
今回は、「働く母親」に焦点を当て、働く母親ご自身と、母親を取り巻くパートナー(父親や地域など)と共に、子育てをポジティブに捉えられるようにするためにはどうすればよいかをディスカッションした。
13:30~14:00
●基調報告
「母親の子育て否定感増加の実態と課題」 動画(YOUTUBE)はこちら
ベネッセ教育総合研究所 研究員 野﨑友花 当日の発表資料はこちら
幼児の生活アンケート ダイジェスト版
幼児の生活アンケート レポート
14:00~15:30
●パネルディスカッション
「働く母親の子育て肯定感をどう高めるか」 動画(YOUTUBE)はこちら
■報告者:ベネッセ教育総合研究所 野﨑友花
ベネッセ教育総合研究所で実施した「幼児の生活アンケート」の調査結果をもとに、
近年の母親の子育て意識と行動の変化を確認し、第二部のパネルディスカッションにつながる課題を整理した。
■登壇者:佐伯早織氏/渡邊大地氏/松田妙子氏
■ファシリテーター:持田聖子(ベネッセ教育総合研究所)
前半:3名の登壇者がそれぞれの立場から、働く母親の子育て否定感増加の課題に言及
佐伯早織氏:仕事も子育てもそれぞれ100%の人と自分を比較してしまう
仕事を持ちながら、小さな子どもを育てる当事者として、ご経験を交えながらお話しをいただいた。ポイントは以下の4点。
渡邊大地氏:妻の家事時間が減っても子育ての「責任感」は減らない
母親のパートナーである父親の立場から、否定感の背景や、解決に向けた糸口をお話しいただいた。ポイントは以下4点。
松田妙子氏:「ワーク」と「ライフ」をつなぐコミュニティが必要
子育て経験に加え、長年地域で子育ての支援を実践している立場から、否定感増加の要因と肯定感を高めるための心の持ちようについてお話しいただいた。ポイントは以下4点。
後半:参加者からのご質問への回答も交え、登壇者同士でディスカッション
「父親」が子育てに積極的に変化するカギは「家事育児を全部やってみる」こと
「家事育児は楽しいよ」ではなく、家事育児の真の大変さを父親自身がやってみて実感すると、その大変さがわかる。「母親」は手を出さず、3日間くらい家を空けてみるのもよい。
保育は、保育園と親と共に作っていく場所
保育園が地域とつながっていないところも多くなってきた。保育園に子どもを預けている人の方が孤立している気もする。親は、保育園を単にサービスを受ける場所と思わず、ともに作っていく場所と捉えるべき。小さなトラブルやいざこざは、親同士でつながるチャンス。
園での保護者会活動は、仲間づくりの大切な機会
子どものことや親の声を園の先生に伝えるよい機会。保育園の中の様子もよくわかる。
園の先生は、親だけでなく、こどもたちにも「おとうさんおかあさんがんばっているよ」と伝えてほしい。親は、他の親に「自分の子どもがどんな子か」を知ってもらうと、子どもがいつもと違う様子のときに声をかけてもらえたりし、困った時に助けてもらえるようになる。
SNSを使ったコミュニケーション
SNSは、つながりをつくったり、情報収集のツールとしては便利だが、SNSだけで全てを判断しない。情報源としては活用しつつ、そこからリアルなイベント(オンライン含む)の参加につなげていくとよいのではないか。
また、小学生以上になればSNSの間違った使い方をしてしまうケースもある。親自身がSNSの上手な使い方を子どもに示していくことも大事。
今日からできること 「自分を開くこと」「周りに頼ること」
働く母親として(佐伯早織氏):
開いていくこと。母親自身が「孤独」にならないように周りの人に頼る。いらっとすることもあるが、悩みを分かち合うことが大切。
父親として(渡邊大地氏):
周囲に頼ること。お父さんは人に頼るのが苦手。最初の一歩踏み出すのは大変だが、一歩踏み出してしまえば、大丈夫。
地域での支援者として(松田妙子氏):
自立とは頼ること。子育てはまさにそう。そして、「どうしてそうなんだろう」と原因を考えるのではなく、「どうしたらよいんだろう」を先の解決策を考えるようにすること。
教育に関する調査・研究データや教育情報誌、オピニオン、特集など、
サイトで公開している情報を検索することができます。
クリップボタンをクリックした記事を格納します。
※この機能をご利用する場合CookieをONにしてください。