文部科学省による教育の情報化ビジョンでは、ICTを活用した協働学習が期待されている。その方向にむけて、こうした考えは学校現場ではどのようにとらえられているか、また今後どう進めていけばよいかなどを今回の調査と関連させて述べる。
今回の調査では、実際に期待されているように、学校現場のサイドにおいても、協働学習が期待されていることが図1からわかった。
図1 一斉学習・個別学習・協働協調学習の割合(現在、今後)(一般校)
ただ、現実としては基礎学力の保障などを考慮すると、理想とする方向に移行させるのは、一筋縄では行かないように見える。協働学習に大きく期待されている点としては、「友だちと協働する力」といったような協働的な問題解決に関するもの、「自分の意見を伝える力」といったような表現力に関するものが、上位にとりあげられている(図2)。近年思考力として求められるような「根拠に基づいて判断する力」や「論理的に考える力」はそれと比べると割合としては低い結果が出ている(図2)。
さて、協働学習においてICTを活用することに関して、教員はどのような認識を持っているだろうか。
図3からは、授業でのICT活用効果は、一斉授業でのそれに比べて認識されていないといえる。ただし、実施することに対しての希望(図4)を見ると、教材の収集や提示といったものには及ばないが、「プレゼンテーション用のソフトを使って発表する」や、「プレゼンテーション用のソフトを使って子どもが共同で資料をまとめる」などへのICT活用については、半数以上の教員が期待をしている。これは、どちらかと言えば、中学校教員のほうが割合が高い。おそらく、中学校になってくると、もう少し生徒に主導権を与えるような学習が本来は期待されているのではないかと思う。しかし、小学校、中学校とも共通しているが、現在取り組んでいることと、今後取り組みたいことについては、大きな開きがあるということがわかった。
以上のデータを見ると、協働学習や協働学習におけるICT活用は、ひとつの可能性として期待はされているものの、実態としてはまだこれから取り組みを考えていこうとしているというようなことが、改めてデータからも明らかになっていると言えるだろう。
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