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「誰もが等しく学べる社会」の実現

 第2回 第コロナ禍から2年、親子の変化と、家庭でできる体験活動の充実とは?(松本留奈 ベネッセ教育総合研究所)

ベネッセ教育総合研究所 研究員 松本留奈

ベネッセ教育総合研究所 研究員
松本留奈

 

ベネッセ教育総合研究所の調査結果では、新型コロナウイルスの感染拡大などの影響で、2019年から2020年にかけて、子どもの生活や学びに大きな変化がありました。2021年の調査では、2019年の水準に戻った項目と、変化が一層進んだ項目に分かれました。変化が一層顕著になったのは、デジタルメディアの活用や「勉強をしようとする意欲がわかない」という子どもの増加。そうした変化に家庭ではどう向き合えばよいのでしょうか。家庭でできるヒントを紹介します。

2020年の変化から2019年の水準に戻った項目は何か?

 ベネッセ教育総合研究所は、東京大学社会科学研究所と共同で2015年から7年にわたり「子どもの生活と学びに関する親子調査」を行っています。本調査では、小学1年生から高校3年生までの約2万組の同一の親子を対象に、毎年学びや生活の状況や意識の変化について尋ねています。

 今回は、コロナ禍以前の2019年と、臨時休校が実施された2020年、さらにワクチン接種が進み東京オリンピック・パラリンピックが行われるなど、「withコロナ」の意識が高まった2021年の調査結果の3地点を比較しました。①2019年から2020年にかけて変化がみられたものの、2021年は2019年の水準に戻った項目については、コロナによる一時的な変化であったと考えられます。また、②2019年から2020年にかけて変化がみられ2021年も戻らない、あるいはよりその変化が進んだ項目については、コロナを契機として中長期的な変化につながっていく可能性が考えられます。

 まず、①について見ていきます。2020年は、学校の授業において「自分(自分たち)で決めたテーマについて調べる」「グループで調べたり考えたりする」「観察・実験や調査などで考えを確かめる」といったアクティブ・ラーニング型の取り組みが減っていました。しかし、2021年には実施率が回復傾向にあり、各学校が感染拡大防止の工夫をしながら、アクティブ・ラーニング型の授業を再開している状況が見て取れます(図1)。


図1

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 次に、学校に対する保護者の意識について「学校は子どもの学力を伸ばしてくれる」や「学校は社会のマナーやルールについて教えてくれる」に「とても+そう思う」と回答した保護者が、2019年から2020年にかけて減少したものの2021年にかけては増加しました(図2)。休校を契機として、学校は学力を養う場であることはもちろん、生活リズムをつくり、社会のマナーを身に付ける点でも重要な役割を果たしていると考えるようになった保護者も多かったようです。


図2

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デジタルの利用が増える一方、リアルな体験が減少

 続いて、②2021年に、2019年以前の水準に戻らなかった項目について見ていきます。
「勉強しようという気持ちがわかない」に、「とても+まああてはまる」と回答した子どもの割合は、小・中学生・高校生ともに、2019年、2020年、2021年と増加しています(図3)。その一方で、「宿題をする」「学校以外の勉強をする」といった子どもたちの勉強時間には変化がありませんでした(図表省略)。以前ほど学習意欲が高まらない中でも、いままで通りに勉強を続けている子どもたちの状況が明らかになりました。


図3

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 1日の時間の使い方では、メディアの使用時間に注目します。2020年ステイホームの影響により増加した「テレビゲームや携帯ゲーム機で遊ぶ」「携帯電話やスマートフォンを使う」「パソコンやタブレットを使う」時間は、2021年も増加したままでした(図4)。屋内で過ごす時間が増えていることや、中学生で自分専有のスマートフォンの所有が増えていること(図表省略)、一部の子どもたちはGIGAスクールによって学校から配布された端末を持ち帰るようになったことも影響しているでしょう。


図4

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 一方で、リアルな場での体験は減少しています。「家族で旅行をする」「自然の中で思いっきり遊ぶ」「地域の行事に参加する(夏祭りなど)」「ボランティア活動に参加する」「スポーツ観戦に行く」といった社会的、自然的体験は2019年と比べて大きく減少しました。また、「美術館や博物館へ行く」といった文化的体験も同様に減少しています(図5)。


図5

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大きな環境変化の中で、家庭にできることは何か?

 子どもの学習意欲の低下やリアル体験の場の減少など、保護者のみなさんにとっては心配なデータだったかもしれません。

 今回の調査では、リアルな場の体験を尋ねたため大きく減少しましたが、実際はそういった活動の一部がオンラインに置き換わったことも、コロナ禍における大きな特徴でしょう。また、オンラインにより距離や空間の制約がなくなったことで、これまでになかった新しい体験ができるようになり、以前より学びの機会が広がったケースも多くあると思います。

 例えば、私の知り合いで、船が大好きな小学生のAくんは、大西洋航海中の船とオンライン会議ツールでつながる船舶会社が主催するイベントに参加しました。運航中の船の中を見たり、船員の仕事について聞いたりしたことで、船への関心が一層深まりました。嵐の中を航行しているためか、時々通信が途切れることすら、「リアルだ!」と喜んでいたそうです。事前に調べた上で参加した子どもは、詳細な質問をして知識を深めていました。Aくんにとっては、同じ趣味の友だちができたこともよい体験になったようです。

 コロナ禍によって子どもたちができなくなったことも多い反面、オンラインの進行によってできるようになったことも多くあります。このような時だからこそ、できるようになったことに目を向け、家庭でも積極的に取り組んでいただければと思います。

 こちらで紹介した例のようにオンラインでの体験を活用することで、習い事の多様化やキャリア教育の充実、グローバルな視点の涵養、学校外のコミュニティの広がりなど、たくさんの可能性を生み出すことができるでしょう。子どもの興味・関心に合わせて体験を重ねることによって、子どもたちの学ぶ意欲の醸成につながっていくことを期待しています。

 

(まとめ・TIPS)

新型コロナウイルスの感染拡大は、子どもの生活や学びにマイナスになるものもありますが、オンラインでのサービスが普及したことは、親子にとって新たな学びのチャンスでもありますので、ぜひいかしましょう。オンラインの活用が、学校外のコミュニティを広げたり、子どもの将来の進路を広げる機会にもなると思います。

※図1~図5
東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所共同研究
「子どもの生活と学びに関する親子調査2021」
https://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5703
「子どもの生活と学びに関する親子調査2020」
https://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5579
「子どもの生活と学びに関する親子調査2019」
https://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5547

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