ベネッセ教育総合研究所
特集 高校の変化を見据えた大学広報とは
出席者(担当教科)
神戸 秀巳
神戸 秀巳教諭(英語)
神奈川県立小田原高校
進路指導部主任


●神奈川県立小田原高校
1900年創立。2004年、小田原城内高校と統合して単位制高校に。生徒数1106(594)人。進路状況=大学206 人、短大7人、専修学校13人、就職3人、進学準備等88人(計317人)
権頭 史
権頭 史(ふみ)教諭(国語)
聖学院高校
進路指導部副主任


●聖学院高校
1906年創立。キリスト教系の私立中高一貫校。男子校。生徒数623人。進路状況=大学114人、短大1人、専修学校11人、就職2人、留学6人、進学準備等67人(計201 人)
並木 重光
並木 重光教諭(数学)
東京都立晴海総合高校
相談部主幹


●東京都立晴海総合高校
1996年創立。東京都で初めての総合学科をもつ高校として誕生。生徒数720(582)人。進路状況=大学112人、短大16人、専修学校38人、就職4人、進学準備等64人(計234人)
細谷 忠夫
細谷 忠夫教諭(世界史)
茨城県立牛久高校
進路指導主事


●茨城県立牛久高校
1980年創立。03〜05年度の文部科学省「学力向上フロンティアハイスクール」指定校。生徒数718(399)人。進路状況=大学107人、短大27人、専修学校56人、就職5人、進学準備等44人(計239人)
矢島 舜孳
矢島 舜孳(しゅんじ)教諭(地理)
東京都立西高校
進路部主任


●東京都立西高校
1937年創立。東京都の進学指導重点校の指定校。生徒数957(442)人。進路状況=大学161人、留学2人、進学準備等149人(計312人)

<生徒数(女子内数)は04年4月現在、進路状況は03年度卒業生のもの>
PAGE 5/22 前ページ次ページ


【座談会】
進路指導スケジュールに合わせた情報発信をしてほしい
 最近の高校生は、基礎学力やコミュニケーション力が不足していると指摘されるが、実態はどうなのか。それに対応してどのような進路指導を行っているのか。大学広報に対する要望も含め、進路指導を担当する高校教員に話を聞いた。
生徒はコミュニケーションを求めている――並木

―― 日常的に高校生に接している先生方から見て、最近どんな変化が表れているのでしょうか。

権頭 他人とのコミュニケーションが取れない生徒が多くなりました。聖学院高校は私立の中高一貫校なので、やや特殊かもしれませんが、最近では「離人症」的な傾向をもつ生徒が増えているような気がします。これは立教大学の社会福祉学の先生に聞いた話ですが、離人症とは「人の話を聞かないのではなく、聞こえない。こちらを見ていないのではなくて、見えない」というものだそうです。
 以前も自己中心的な生徒はいましたが、それは反抗心からで、彼らの意識の中には「他者」がいました。しかし離人症的な生徒の意識にあるのは自分だけ。そこには「他者」が存在せず、外部と積極的に関わっていこうとする意欲に欠けているのです。

矢島 そういえば、授業で当てても必ず「先生、もう一回言ってください」と言う生徒がいました。こちらはクラス全員に質問しているので、当てられることは当然覚悟して聞いていないといけないのに、その生徒は自分が当てられるとは思っていなかったんですね。

並木 晴海総合高校では「今の生徒は丁寧に教えてもらいたがっているのでは」と感じる教員が多いようです。これは、以前よりも生徒が教師とコミュニケーションを取りたがっていることの表れではないかと思います。言葉を換えれば「幼くなっている」「自立が遅れている」「甘えている」と評されるのかもしれませんが。

―― 大学で、自分のことを「生徒」と呼ぶ学生が増えたと聞きます。高校の延長という意識なのでしょうが、高校生も同じように幼くなっているのでしょうか。

矢島 表現は稚拙になってきています。小さい頃からの塾通いが増え、性急に答えだけを求められることに慣れてしまったせいなのか、当てると単語しか言えず、文章にして話すことが苦手な生徒がいます。
 書く力も同じで、単語を問う問題なら解けるのに、記述式になると何が主語で、結論がどこにあり、その理由は何かということが書けない場合があります。

神戸 小学校の先生の間では、児童に接するときは「3歳下に考えなければだめ」というのが定説になっていると聞いたことがあります。これを当てはめれば高校1年生は中学1年生。当たっている部分は多いと思います。
 例えば、マフラーを巻いたまま、あるいはジュースを飲みながら職員室に入ってきて、そのことで怒られても、なぜ怒られているのか分からない生徒が多くなりました。


PAGE 5/22 前ページ次ページ
トップへもどる
目次へもどる
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse