ベネッセ教育総合研究所
特集 高校の変化を見据えた大学広報とは
 
PAGE 10/22 前ページ次ページ


【レポート1】
低学年向け広報で目的意識を掘り起こす
早稲田大学
 早稲田大学では今年度から、高校1・2年生向けの広報活動をスタートさせた。低学年から進路観を育成したいと考える高校のニーズに対応したものだが、大学の存在基盤に関わる危機意識も背景にある。

低学年向けガイダンスを実施

 早稲田大学入学センターは04年度初めて、オープンキャンパスで高校1・2年生向けに、全学の学部構成と各学部の学問内容について、約1時間で紹介する入試ガイダンスを実施した。学部ごとに説明会や模擬授業、個別相談などを行う受験生向けの企画とは一線を画し、同大学で何が学べるのかを、鳥瞰的に紹介した点が特色だ。夏休みに開催する2日間のオープンキャンパスでは、このガイダンスを計6回実施。約1800人が参加する盛況ぶりだった。
 低学年用パンフレットも制作した。「www.」というタイトルは、World Wide Wasedaの頭文字を取ったもので、サブタイトルは「大学で何を学びたいのか? 何を学べるのか?」。環境や国際理解、食糧、情報、福祉、教育など高校生の関心が高いテーマで、関連する学部の教員がそれぞれの視点から語るという構成だ。受験生向けパンフと違い、大学の概要や特色についての解説はない。
 入学センターの佐々木裕康課長はその狙いを、「早稲田の魅力をアピールする以前に、高校生の目的意識を掘り起こしたかった。身近な興味が大学での学びにつながっていくことをまず認識してもらい、そこから早稲田で何ができるかを考えてもらえれば」と説明する。このパンフレットには、大学での学問の奥行きを理解させる意図もある。例えば「人間」について、社会科学部と法学部の教員がそれぞれの立場で語っている。一つのテーマに様々な学問が関連していることを伝えようというわけだ。 入試ガイダンスの会場で参加者に配布したほか、出願実績のある高校へも送付した。高校現場からは、進路観を養う教材として利用しやすいと好評を得ているという。



PAGE 10/22 前ページ次ページ
トップへもどる
目次へもどる
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse