ベネッセ教育総合研究所
特集 高校の変化を見据えた大学広報とは
 
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【レポート2】
学生のガイドによる学内ツアーを実施
北海道大学
 北海道大学では、修学旅行で訪れた高校生などに対して、学生がガイド役となって学内を紹介する取り組みを実施している。大学をより身近に感じてもらい、志望校の決定の参考にしてもらうことが狙いだ。

コース設定も学生が担当

  この取り組み「北大CVP(キャンパス・ビジット・プロジェクト)」は、北海道大学を訪問する高校生や地域住民などに対して、学生がボランティアでガイド役となり案内するというもので、2003年5月にスタートした。高校側との事前折衝で確認した見学の目的や人数に応じて、学生がツアーごとのコースの設定まで行う。
 例えば「北大探検コース」では、広大な農場を歩き家畜と触れ合うほか、電子科学研究所で開発中の福祉機器を体験するなど、研究の一端が垣間見られる構成になっている。ほかにクラーク像やポプラ並木といった、北海道大学の歴史が感じられる場所を巡るコースもある。
 CVPの狙いは、高校生に広い視野から大学を見てもらうとともに、地域に大学を開放することにある。プロジェクトの立ち上げに参画した高等教育機能開発総合センターの池田文人助教授は、「パンフレットやホームページなど、高校生の周りには大学についての情報があふれている。そこから本当に自分にとって必要な情報を見つけることは難しく、どうしてもイメージ先行の大学選びに陥りやすい。本学でも、入学前のイメージと入学後の現実とのギャップに悩む学生が増えている」という。そこで、大学の実際の姿に触れ、学生の生の声を聞いてもらおうというわけだ。
 また、修学旅行に大学見学を組み込む高校の増加に対応するという側面もある。進路観の醸成や学習の動機付けのため、旅行先の大学に見学を求める高校が増えており、北海道大学にも、03年度に約3500人の修学旅行生が訪れた。アドミッションセンター(AC)が窓口となり各学部に振り分けてきたが、見学に意欲的な生徒ばかりではなく、教員から「説明をほとんど聞かず私語が目立つ」といった声も寄せられていた。
 そこで高校側に、北海道大学に関心があり受験を希望する生徒に絞り込んでもらい、志望学部が明確な場合は、その学部を見学してさらに学習意欲を高めてもらう。それ以外はCVPに参加してもらい、「キャンパスライフも含めて大学を紹介し、志望動機の明確化を促す」という方法に切り替えた。



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