課題を数えるより克服の策を
現代GPに選定されたある国立大学の授業システムの開発に関わる学外委員を頼まれ、委員会に参加した。職業的な教育をどう取り入れたらよいのか、というテーマで議論した。学生たちをいかに育てるのか、そのためにどのような教育を実践すべきか、真剣に、熱く考えている先生方の様子に正直いって驚いた。研究こそが自分たちの役割で教育は二の次と考えている教員は、少なくともその場には一人もいなかった。
当然、初めから一致団結していたわけではないようだ。現代GPへの申請のため、学長以下、全学で取り組むという意思決定がなされたため、「仕方ない」という人も中にはいるかもしれないが、今となっては実行するのみという覚悟が感じられ、心から応援したいと思った。
新たな教育システムを作るにはそれなりの時間がかかる。この国立大学も、今回のプロジェクトの担当教員から「何か新しい取り組みをやりたい」と相談を受けたのは、3年近く前になる。その頃は、具体的に何をするかということになると曇をつかむような話であった。それがようやく一つの形になり、現代GPに選定されるまでに至った。この間には様々な苦労があったという。
このような事例を取り上げると、その内容を聞いて「国立大学だからできること」「うちではできない」と決めつける大学もありそうだ。「予算がない」「教員の協力が得られない」など、できない理由を即座にいくつも挙げることはできても、どうしたらそれらの課題を乗り越えられるのか考え、覚悟を持って取り組もうという大学は一体どれほどあるだろうか。
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