ベネッセ教育総合研究所
特集 教育の質をどう保証するか
 
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特区の全国展開は継続協議

 株式会社立大学の参入は、「大学とは何か」「大学の質は誰がどう保証すべきか」という議論を本格化させた。今後、設置が全国に広がるかどうかが大きな焦点となる。
 構造改革特区については、「特段の問題の生じていないと判断された規制の特例措置は、速やかに全国規模の規制改革を実施」と決められている。この「問題」については規制所管省庁に「立証責任」がある。文科省が04年度の評価として04年春開学した2校について問題の有無を点検、構造改革特区推進本部の評価委員会が1月中に方針決定という流れで、今国会で法改正して06年度からの全国展開もあり得るというスケジュールで進められた。
 文科省は2校について、書面調査と実地調査に加えHP上で在学生や保護者、教職員の意見も募集。学生から「授業以外での実務家教員との接点が少ない」、教員から「教授会が年1回しか開かれない」などの声が聞かれたという。これらの分析結果をまとめて評価委員会に報告。1月の評価委員会のヒアリングでは、現時点で懸念される課題として(1)株主の意向と学生サービスの充実とを調整するガバナンス体制が確立されるか(2)経営悪化時のセーフティネットを確保できるか、を挙げた。その上で、株式会社立大学を適切に評価するためには(1)少なくとも卒業生を出すまでの実態把握が必要(2)2校だけでなく相応の事例に対する総合評価が必要、との考えを説明した。
 これを受け、評価委員会は全国展開決定を見送った。文科省が株式会社立大学を評価するために必要なポイントを洗い出し、よりきめ細かい調査をした上で05年度に再び評価することになった。



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