評価結果の公表が保証の要
―設置審査が必要最低限になった場合、7年に1度の認証評価だけで、本当に大学の質を保証できるのでしょうか。
木村 機構が行ってきたこれまでの評価の経験からいって、われわれが設定した評価項目に沿って評価すれば、かなりの精度で評価できると思います。問題は評価委員の良識に負うところが大きい点です。従来の日本的な発想から脱却して、悪い大学は悪いとはっきり言うことが大切で、認証評価が成功するかどうかは、そこにかかっています。ですから評価委員の育成は非常に重要です。委員は同僚である大学人、マスコミ関係者、産業界・経済界の人たちですが、機構では様々な機会を設けて研修を実施しています。
また、評価には多大な費用がかかります。現在は評価委員のボランタリズムに頼っているのが実情ですが、その状態がずっと続くとは思えません。評価費用を誰がどのように負担するのか、早急に考える必要があると思います。
―認証評価の結果はすべて公表されるのですか。
木村 結果は、原則としてすべて公表されることになっています。これは大学にとってはかなり大きなインパクトになるはずです。
認証評価は大学として適格かどうかを判断するものです。機構では、ある評価項目について不適格と判断した場合、その理由を付記し、適格と判断した中で特に優れている場合はそのことも付記しています。試行的評価においてもこの特記事項は大学の質の向上に役立っており、実際、機構が行った調査でも、評価結果を前向きに受け止める意見が圧倒的でした。
―評価で不適格と判断された場合、どんな方法で改善を促すのですか。
木村 評価結果の通知後は、各大学に任せることになります。評価者の仕事は評価を行うところまでで、あとは各自の判断で改善してもらうことになります。
―とすれば、大学の質は、実際には誰が保証するのですか。
木村 世の中です。国民は高等教育を支えるために税金を払っています。いい加減な教育をしている大学に対して何も言わないのであれば、これは日本の民度の問題ということになります。つまり、自分たちがタックスペイヤーであるということを意識するかどうかにかかっているのです。今後導入しようとしている高等教育の質の保証システムは、まさにそこに基礎を置いた制度であるといえます。個人的にはこの点については楽観視しています。これまでの経験から、悪い結果が公表されれば、どの大学も必死に改善することはわかっていますから。
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