ベネッセ教育総合研究所
大学改革の行方 変わる高等教育
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第三者評価による評価制度には疑問の声も
――国立大の独立行政法人化により、今後、大学に対する評価が重要になるかと思います。評価はどういう形で社会に公表されて、大学の研究・教育にどのように還元されていくのでしょうか。
 評価に関する制度面での大きな変化の一つは、03年8月に学校教育法が改正されて、認証評価機関という考え方ができたことです。国際的な人材の流動性が高くなっている今日、日本における「大卒」とは最低限どのような質の教育を受けているのか、ということを保証する必要があります。もう一つ重要な制度的枠組みの変化は、大学評価・学位授与機構による国立大の評価です。従来は、国立大について研究・教育の面での評価をしていたわけですが、法人化後は、6年間の中期目標・中期計画の達成状況を判断する役割があり、その評価は国立大に対する資源配分に反映されることになっています。
 外部から大学教育の質を評価する、国立大に対して目標の達成度により財政のインセンティブを与える、いずれも評価をキーとしています。しかしながら、そもそも評価そのものがどの程度正確で、誰もが納得できる内容になるのかということは、専門家の間でも必ずしも合意が得られているとは言えない状況です。
――情報さえあれば評価はできるという声もありましたが、過度の期待は禁物ということですね。
 一定の最低基準については認証評価機関でもできると思いますが、明確なランク付けができるような評価は難しいでしょう。高校や保護者の立場から見ると、評価の出現によって大学が選びやすくなるのかというと、残念ながらそうはならないでしょうね。
 ただ、評価が思った以上に難しいことが今よりも認識されるようになれば、それを補う意味で情報開示を様々な形で行うということになると思います。例えば、私立大の経営情報については、03年12月に大学設置大学法人審議会で「経営情報を開示すべきだ」という意見が出ています。高校の先生や保護者の方は、これまで同様にアンテナを働かせて大学が開示する情報を注視する必要があると思います。


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