ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S REPORT 中高6か年指導のポイントを探る
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1 指導ストーリーの確立と組織運営
 6か年での学力向上に向けた教科シラバスが作られている学校は多い。同様に、生徒の学習・生活習慣の実態も踏まえた、6年間の進路指導ストーリーの確立が必要という声も多く聞かれる。ただし、6か年を見据えた計画があっても、それを機能させるためには、校内の指導体制の構築が前提となる。高校・中学と分断されない組織づくり、情報の共有が行える場を整える、といったことも必須と言えるだろう。
ポイント1
・6か年の進路指導ストーリーづくり
・中学・高校間の情報流通の場づくり
・6か年を見通して生徒の指導が行える教員の組織体制


2 時期に応じて指導を見直す
 内進生の場合、中1〜中2で身に付いた生活・学習習慣の差が顕在化し、学力・意識面で伸び悩む生徒とそうでない生徒の二極化がはっきりとしてくるのが中2〜中3の時期と言われる。そこで、まず課題が顕在化する前の、中1〜中1年次の指導を見直す(学校行事などで自己効力を高める、学校中心の生活・学習習慣の確立を行う)ことが挙げられるだろう。
 更に中2後半以降は、生徒の成長段階を踏まえ、学問の面白さや社会・職業での役立ちを認識させるなど、学習への内発的動機づけも重要になる。中高一貫校の場合、中学〜高1までの生徒への仕掛けを改めて見直すことが課題解決のポイントの一つになりそうだ。
ポイント2
・学校行事の狙いの再確認
・中学低学年次で学習・生活習慣づくり
・中2〜高1における、進路学習など、内発的動機づけの充実


3 生徒の把握もポイントに
 更に、中学・高校の6か年は、生徒の変化が特に大きい時期でもある。このため、その変化を捉えた上で指導していくことも必要だと、多くの学校が指摘する。その際、学力だけでなくその土台となる個々の生徒の生活・学習習慣、進路意識までしっかり見ていくことも重要になるだろう。
図2
 なお、多くの中高一貫校は併設型であるが(図2)、その場合は内進生と外進生の足並み揃えも重要な問題だ。内進生と外進生の意識の違い及び学力到達度を見逃さず、個々の生徒の生活実態を踏まえながら、指導の調整を図っていくことも求められる。
ポイント3
・生徒の多面的把握を定期的に実施
・内進生、外進生別の実態把握と特性に応じた指導プランの設定
 こうしたポイントを取り入れながら中高一貫校では様々な指導を展開している。次ページからは、東京・私立國學院大學久我山中学高校と大阪・私立開明中学校・高校の事例を元に、どのように中高一貫校が課題解決への取り組みを推進しているのかを見てみたい。


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