ベネッセ教育総合研究所
大学改革の行方 工学部教育の変化と工学教育・研究の展望
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卒業後の可能性はどのように広がるのか
 一方、「企業人」は工学部に何を求めているのだろうか。
 今後、社会では一層、事務系と技術系を融合したようなe−ビジネス、システムソリューションといったような新しい仕事も急増していくだろう。IT革命の歩みに伴い経済のソフト化、サービス化は今後ますます進展し、それを担う人材の育成が求められている(図7)。
図7
(注)「科学技術指標 No.73」(科学技術政策研究所)より抜粋。データの数値は文部科学省「学校基本調査」に依拠。
一方で起業家意識の高い人材が求められる傾向にある。ベンチャーを興したり、社内で自ら事業をスピンアップしたり、周囲を巻き込んで新しい事業やビジネスモデルを構築したりすることのできる人材が必要になっていく。その基盤形成として、他大学や他学部との単位互換、卒業研究の充実、インターンシップの積極展開が、強く大学に求められている。
 更に、日本が経済国家として存立するコアコンピタンスは、言うまでもなく国際競争力を生む「優れた科学技術・工業力」による部分が大きいのである。そして、その構図を支えるのは修士卒を中心に求められる「優れた研究力」であり、「モノ作りを具現化できる技術力」ということになるだろう。
 今後、高校に求められるのは、
(1)社会環境の流れや工学教育・研究を巡る改革を見極めるアンテナを持つこと
(2)工学部の魅力や求められる人材像を、進路選択の場面で正しく伝えていくこと
であろう。この改革は、日本の国力にもつながる深淵なものであり、決して大学だけに限られた話ではなく、高校現場でのキャリア教育と表裏一体なのである。

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