ベネッセ教育総合研究所
特集 高大連携の未来形
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縦の連携、横の連携双方に成果を上げる
 一方、高校側にとってのメリットの一つは、高校段階での授業到達度の明確化と共に、生徒の「送り手」としての意識が強まったことだ。
  「高校の教師というのは、どうしても『大学に生徒を受け入れてもらっている』という意識に傾きがちです。しかし、求められている学力要件が明確になれば、今度は逆に『送り手』として、大学に対して率直に意見を言いやすくなると思うのです。もちろんそれは、生徒の学力保証に対する責任がより明確になることでもあるので、私も教科会議などを通じて、『群馬大の求める学力』を校内にフィードバックして教員間で共有するようにしています」(荒木先生)
  また、高橋先生が実感しているのが、高校教員と大学教員、そして、地域を越えて教員同士の横のつながりが強化できたことだ。
  「従来であれば、出前授業をお願いするにしても、大学側が提示するパッケージカリキュラムを利用するか、自分が知っている範囲でしか、大学側にお願いする術がありませんでした。しかし、会議を通じて個人レベルでつながりを持てる大学の先生が増えたことで、授業の進め方を工夫したいときや生徒の高度な質問に答えたいときに、気軽に相談できる人脈が増えました。また、県境を越えた高校教員同士のパイプができたことも大きなメリットです。例えば、自分が詳しくない他県の大学の情報を知りたい際に、その地域の高校の先生と連絡を取り合えば、より精度の高い情報の収集が可能です。会議が人的なパイプ作りの場として機能しているのは意義のあることですよね」
  入試を通じて高大の接点を議論するところからスタートした群馬大の「高大連携会議」。第三回会議に向けては、個別学力試験での英語導入や、独法化以降の生き残り戦略など、一層の議論の深化が期待されている。高大の現場の教員による広域的な高大連携のスタート地点として、その役割は一層大きくなるであろう。


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