ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S TOPIC 大学におけるキャリア教育の最前線〜成蹊大
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キャリア教育科目を正課の授業に位置付ける
 「SUCCESS」()と名付けられた成蹊大経済学部のキャリア教育プログラムにおいてまず注目されるのは、1年次に登録必修とされている「キャリアプランニング1」という科目である。この授業の目的は「自己発見」。これまでの人生に対する振り返り、あるいは、仲間との共同作業を通じて、徹底的に自己を見つめ直す。科目修了時には今後の行動計画表である「SUCCESSマップ」の作成が課されており、これが目標設定と、自己の適性を踏まえたコース選択へとつながっていくわけだ。
  「今時の学生は、『思考力がない』『主体性がない』と語られることが多いのですが、彼らにそうした能力がないわけでは決してありません。むしろ、そういった能力を身に付けるための経験がないことにこそ問題があるのです。そこでこの授業では、自己分析やグループワークを取り入れて、自己を知るための手法や考え方、あるいは共同作業の進め方などを徹底的に身に付けます。年度当初の授業では、グループの代表者をじゃんけんで決めていたような学生も、授業を終える頃には、グループできちんと話し合いをして代表者を決められるようになっていますよ」
※SUCCESS…Seikei University Career Creating and Encouraging Support Systemの略で成蹊大と弊社が共同開発した。大学4年間を連続したキャリア育成期間と位置付け、成蹊大の学生に最適化されたプログラムを提供する。
 また、成蹊大経済学部のキャリア育成プログラムが、一過性のものではなく、4年間を通して継続的に実施されることも注目される。すなわち、2年次にはコースの専門性を踏まえた調査・研究活動を中心とした「キャリアプランニング2」、そして3年次以降は、企業訪問やインターンシップを通じて自己の在り方を考える「インターンシップ準備セミナー」「ビジネスインターンシップ」等が準備されているのだ()。
▼図 成蹊大のキャリア教育体系
図
  更に、いずれの授業においても、教授と学生の人間的な関わり合いが重視されていることも注目される。扱う内容は学年が上がるに従って高度化するが、きめ細かなレポート提出やグループワーク、課題発表などが行われる点は共通だ。
  「本学では実践的な職業能力の育成と共に、ゼミを通じた人格形成を伝統的に重視してきました。キャリア教育においてもその方針を貫いていますが、一斉授業の形態でそれを実現するには様々な工夫が必要です。学生に配るプリントや、グループワークの進め方などの研究は欠かせませんよね」


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