ベネッセ教育総合研究所
特集 中学校のキャリア教育を考える
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●3年生
1、2年生の活動を土台にした上級学校の選択
 1、2年生での活動で勤労観・職業観を身につけた生徒は、3年生になると、それを土台に上級学校の選択に入る。幅広い視点から高校が選べるように、3年生の活動の核となる「進路を考える会」では、高校生、大学生、専門学校生、社会人などさまざまな卒業生を招き、進路観を語ってもらうなどの工夫をしている。
 「2年生までのキャリア学習と3年生の進路選択の接続は、確かに難しいですね。それまでに養ってきた勤労観・職業観はとりあえず脇に置いて、学力優先で高校選択をするという現状はやはりありますからね。ある程度それはやむを得ないとしても、生徒たちには、例えば学力面で似た高校が複数あった場合、キャリア教育を通じて培ってきた自己理解や将来の目標を踏まえたうえで、自分に合った高校を選択する意識を持たせたいと考えています」
 このように1年生から3年生まで、継続性を持った「総合的な学習」を展開している大井東中学校だが、現時点での課題は教科教育や特別活動、道徳教育など、他の教育活動との連携を図りながらキャリア教育を進めていくことだという。
 「自己理解や社会・職業についての理解は『総合的な学習』、エンカウンターなどを活用したコミュニケーション能力の育成は特別活動の時間を使って行う。このように、大まかな割り振りはしているのですが、キャリア教育における両者の役割は、十分に系統化されているわけではありません。またキャリア教育の視点をいかに教科教育に取り込んでいくかについても、今後の検討課題です」
 すでに「総合的な学習」をこれだけ体系的に展開しているだけでも、同校のキャリア教育の水準は高いレベルにあるといっていいだろう。これに教科教育や特別活動の輪が加わったとき、同校のキャリア教育はさらなる深化を果たすはずだ。


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