ベネッセ教育総合研究所
特集 変わる高校入試に中学校はどう向き合うか
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理科・社会科

 理科、社会科では、資料を効果的に用いた出題が目立ちます。図4の静岡県の理科の問題では、カラス、オナガ、ツミという3種類に鳥についての資料が提示され、この資料をもとに、3種類の個体群の相互作用を考察することが求められています。3種類の鳥についての知識は提示された資料によって得られるわけですから、知識量ではなく、これまでの理科の学習によって培われてきたデータを読み取る力、観察力や考察力が問われている問題であるといえます。
図表
 また社会科では、ある国の気候や時差、貿易品目、貿易相手国などの複数のデータを示して、重層的な理解のうえで、その国の地域的な特徴について書き込ませる問題などが出題されています。単なる暗記、知識の単純な再生では対応できない問題が増えつつあります。

総合問題

 最後に、教科横断型の総合問題にもふれておきます。
 公立高校の一斉入試で総合問題を採用している県はいまのところありませんが、前期の学校独自問題で総合問題を取り入れている県は、04年度は千葉県・岐阜県・静岡県などで、05年度には埼玉県・熊本県などが加わります。
 総合問題は、内容的には教科別の大問が集まった試験と、一つの大問の中で複数の教科を融合させた融合問題とに大別できます。教科別の試験は、各教科の対策で対応できますが、進学校での独自問題は難度が高く、十分な対策が必要です。融合問題は、例えば、日本語の文章を出して、その文章にからめて、国語の語い問題・読解問題、社会科の知識問題・思考表現の問題、文章内容について英語で出題するなど、教科の力を横断的に測ろうとした問題です。
 各教科の対策がしっかりできていれば対応できる問題だといえますが、出題形式がユニークなので、時間配分などを意識しながら、事前に同様の問題に慣れておくことは必要だといえます。 (談)


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