ベネッセ教育総合研究所
米野岳中学校
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コミュニケーション重視の姿勢が、学習集団づくりを支える
 ただし、この「学習集団形成度調査」を導入しただけで成果が上がったわけではない。
 調査を生かす土台となったのは、学校経営のすべての場面で貫かれているコミュニケーション重視の姿勢だ。その一つは、学校便り「めのだけ」(図3)
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▲図3 都田校長手書きの学校便り「めのだけ」。
2003年度は1年間で90枚も各家庭や地域の方々に届けられた
 「子どものがんばり、教師のがんばり、自分の思いを届ける」を目的に、週に1、2度、部活動の成果、生徒朝会のようすなどを校長自らが手書きし、全校生徒の家庭や地域の方々に配っている。
 また、02年度の就任当初には、教師全員にアンケートを実施。学校の「よいところ」「改善すべきところ」「こんな生徒になってほしい」という個々の教師の思いを踏まえて学校経営の方針を定め、校長が教師一人ひとりに伝えた。
 金曜朝に行われる「気になる生徒の情報交換会」も重要な機能を果たしている。指導上の問題行動があったり、不登校気味だったりする生徒のほか、病気の家族がいるなどの家庭的な事情も含め、平常とは違う状態にある生徒について、すべての職員が情報を共有するのだ。 「そうした情報を共有しておけば、いろいろな先生が、その生徒と校内ですれ違ったとき、『大丈夫か?』などと声をかけられる。生徒は自分が見守られていることを感じ、先生との距離が縮まる。それが学校づくりの基本だと思うんですよ」
 もちろん、校長自身もそれを実践している。各クラスの担任が行っている教育相談を、今年度から校長自らも行うようになった。
 「校長室に来るのは叱られるときばかりと思われてもよくないですからね(笑)。一対一で、『あんたがよかとこはどこや?』『きつかことなかね?』『どん勉強がいちばん弱かっかい?』ときいてます。みんな、ちゃんと答えてくれますよ」
 こうした一人ひとりの生徒を見る姿勢は、生徒たちに「先生の気持ちに応えよう」という気持ちも生み出したようだ。


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