ベネッセ教育総合研究所
米野岳中学校
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●取り組み(3)
「自主勉強ノート」で学習習慣を定着させる
 洞戸中学校では学習面でも、生徒の自信と意欲を高めるための工夫をしている。努力する前から「どうせだめだ」とあきらめてしまう生徒を減らしたいと考えているからだ。
 生徒の基礎学力を養成するうえで、洞戸中学校で最も大きな効果を発揮しているのが「自主勉強ノート」(図)だ。
図表
▲図 自主勉強ノート。
内容は生徒が自由に決める。先生は毎日全員のノートを見続ける
 これは生徒が家庭学習をするためのノートで、宿題以外の学習にこのノートを使い、毎日担任の先生に提出する。学習内容は、生徒個人が自由に決めることができる。
「自主勉強ノートの活用方法は、担任によって少しずつ異なりますが、私が担任を持った場合は、1、2年生には1日2時間2ページ以上、3年生は3時間3ページ以上を課しています。とにかく生徒に家庭学習習慣を身につけさせたいという思いで始めました」
と2年担任の朝田康裕先生は言う。
 自主勉強ノートのねらいは、決められたことを継続することで生徒に「自分にもできる」という自信を持たせることだ。また、担任の先生にとっては、毎日学級全員のノートを見続けることで、一人ひとりの状態が手に取るようにわかるようになった。弱点教科へのアドバイスや補強もでき、個別指導のツールとしても活用できる。
 特徴的なのは、自主勉強ノートにおいても、生徒同士が刺激し合い、高め合うことを大切にしていることだ。朝田先生のクラスでは、定期テスト前になると、いつもよりも自主勉強ノートで学習するページ数が増える。その理由は、「クラスの生徒数×ページ数×日数」をクラス全体の目標数値として設定し、その目標をクリアするために、クラス全体で取り組ませるからだ。
 また教室の後ろには、3年生の先輩の自主勉強ノートのコピーが貼られている(写真4)。
図表
▲写真4 教室の後ろの壁に貼られた先輩の自主勉強ノートのコピー。
学習習慣が身についた生徒ほど、ノートの書き方も丁寧になっていく
 これは「そうか、先輩たちはこんなふうに勉強しているのか。自分たちも先輩たちを見習って頑張らなければ」という刺激になっている。
 自主勉強ノートによって、一度学習習慣を身につけた生徒は、高校進学後もその習慣は持続する。毎年洞戸中学校生徒の多くが進学している県立武義高校(むぎこうこう)の協力を得て、04年、高校進学後の学習時間や成績についてのデータを提供してもらった。その結果、洞戸中学校の卒業生は、家庭学習時間が長く、家庭学習習慣も身についていることが確認できた。また、入学年の4月と7月を比較して、成績も向上しているという結果が出たのだ。中学校で正しい学習習慣を身につけることが、高校生活のよいスタートにもつながることがわかり、自主勉強ノートの効果を改めて確認できた。
「生活面でも学習面でも、少々のことではくじけない生徒を育てたい」(今井校長)という思いに向けて、洞戸中学校の取り組みは着実に進みつつある。


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