特集 データでひもとく学習指導の「いま」と「これから」

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【データで見る 授業の内容と進め方(1) 基礎的・基本的な知識・技能の習得】

基礎・基本の定着を促す
指導法が主流に

表現活動、調べ学習が減少

 2007年10月、「全国学力・学習状況調査」の結果が発表された。基本的な知識の到達度を測るA問題の平均正答率は、国語が約82%、数学が約73%だった。これに対して、活用する力を問うB問題は、国語が72%、数学が約61%だった。このような結果を得るに至るまで、具体的にどのような指導が行われてきたのだろうか。
 図1は、ベネッセ教育研究開発センターが行った、「第4回学習指導基本調査」で、授業時間の使い方や進め方について尋ねた結果だ。心がけている割合が高いのは、「練習や演習の時間」(50.0%)、「生徒の発言や発表の時間」(48.0%)、「机間指導や生徒に個別に対応する時間」(41.9%)だった。これらの割合は02年調査と比較して減少しているものの、他の項目よりも相対的に高いことは変わらない。「脱ゆとり」、基礎・基本の徹底が叫ばれる中、教師からの一方的な授業ではなく、生徒個人の発言や演習の時間を大切にしたいと考えている様子がうかがえる。

図1

  また、図2の「教科の授業において心がけていること」を見ると、「多くするように特に心がけている」割合が高かったのは「小テストの実施」(36.7%)、「自作プリントを使った授業」(36.4%)だった。全体的に上位に挙がっている項目の多くは、基礎・基本の定着を促すための授業形式である。
02年の調査結果と比較すると、「教師主導の講義形式の授業」「教科書にそった授業」「自作プリントを使った授業」「小テストの実施」が増えて、「自分で調べることを取り入れた授業」「表現活動を取り入れた授業」が減っている。
 教師にとって比較的教え慣れた指導方法による授業を意識する場面が増えている一方で、表現活動や調べ学習といった授業を心がける割合が減っている。この傾向は、小学校でも同様に表れている。基礎・基本の習得に力を注ぐ教師の様子がうかがえる。

図2

図1〜2 出典:「第4回学習指導基本調査」(ベネッセ教育研究開発センター、回答者は中学校教師、調査概要はP.2参照)

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