| Report-1 |
2年次後期からの公務員講座をコアに
徹底した二次試験対策支援を実施 |
| 公務員を希望する学生に対するサポートは、公務員講座の設置が中心になりがちだ。北海学園大学では就職希望者の3分の1以上が公務員志望であるだけに、有料、無料の公務員講座のほか、充実したガイダンスや個別指導を実施。毎年350人以上の合格者を出している。 |
| トータルで216コマの有料公務員講座を設置 |
公務員講座は2年次の10月からスタートする。2～3年の通年コースを選択すれば、学生は216コマの授業（90分）に加え、3年次後期には8回の無料模試を受験できる。カリキュラムづくりや講師は外部の専門予備校に依頼し、最新の指導内容を導入している。
公務員の就職支援を担当する就職部の河井裕司主任は「第一目標は一次試験の突破ですから、学生への支援はどうしても学力強化が中心になります」と語る。出題内容が多岐にわたるため、講座の開始は早い方がよいと思われがちだが、「学業と両立しながら、長期間にわたって試験への学習意欲を持続させることが難しい」（河井主任）ことから、2年次後半のスタートに落ち着いたという。
北海学園大学の就職支援の特色の一つは、早期から民間企業か公務員かを学生に選択させ、個々に指導を行う点だ。「民間企業の採用が早期化し、就職活動も激化する中で、就職活動も公務員試験の勉強も、というのでは両方とも中途半端に終わってしまうことになる。また、公務員試験がだめだったから民間企業に切り替えるというのでは、本人の職業観も問われてしまう。3年次4月の第1回公務員ガイダンスでは、こうした現状をはっきりと告げるようにしている」（河井主任）
公務員志望者はほぼ全員が2年次から公務員講座を受講し、試験対策を開始することになる。
採用までの長丁場を乗りきるための環境づくりも重要だ。合計4回開催される「公務員ガイダンス」では、前年度の状況報告や、採用試験に合格した学生の体験談を伝えるほか、試験の情報提供を行う。さらに、全員に個人面接を実施し、志望や受験対策を話し合い、モチベーションの維持を促す。
公務員志望であっても、官庁ごとの業務内容を知らない学生が多い。そこで「官庁説明会」を開催し、卒業生の採用実績がある札幌地方裁判所、北海道人事委員会、自衛隊札幌地方連絡部、人事院北海道事務局、札幌市役所、北海道警察、札幌国税局などの採用担当者を招き、職務概要や試験内容についての周知を図っている。
ユニークなのは、公務員試験に現役で合格した学生による無料の公務員講座を年16回開催していることで、17年の歴史があるという。河井主任は「試験対策のポイントだけでなく、勉強に対する心構えや試験での実体験など、一般の講座では得られない情報が聞けるのでは」と意義を語る。
一次試験の合格者に対しては、徹底した個別指導を行う。各官庁に対応した面接対策のほか、例えば北海道警察の二次試験で行われる体力試験対策として、本試験と同じ時間・形式で指導を行うなど、学生一人ひとりへのきめ細かな指導を心掛ける。
現役合格を逃した卒業生への支援も継続して行う。卒業生の大半は受験対策のために公務員予備校などに通うが、一次試験を通過し、面接指導を受けるために就職部を訪れる者も多い。同大学は、現役学生と同様、無料で個別面接指導を行っている。 |
| 市町村まで幅を広げあらゆる情報を提供 |
同大学は、国家公務員II種の合格者数では、道内で上位を占めてきた実績を持つ。「公務員試験に強い」ということを理由に、入学してくる公務員志望の学生は多いという。ただ、不況の影響で公務員の採用状況も大きく変化したことを踏まえ、近年は地方公務員試験受験の指導にも力を入れる。
例えば、今年度から道内の市町村レベルの採用情報までをすべて網羅した情報提供を行う試みを始めた。「人によっては、現実的な事項の決定に関与したり、目に見える形で活躍できるなど、やりがいがあるのではないでしょうか」（河井主任）
来年度から4年次の夏休みにも公務員説明会を開き、夏以降に受験可能な公務員試験の情報を提供、「あきらめるな公務員」というメッセージを伝える計画だ。 |
