ベネッセ教育総合研究所
特集 チャレンジする短大
湘北短大
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REPORT 4
インターンシップとSHOHOで独自の社会体験教育を実施
 湘北短大は、10年以上の実績を持つ学外インターンシップと、擬似会社体験活動ともいうべき「SHOHO」を両輪とした独自性あふれる体験教育を実施している。その取り組みは学外からも高い評価を受け、2003年度の「特色ある大学教育支援プログラム」にも採択された。
1カ月半にわたるインターンシップも実施

 ソニー(株)によって設立されたという背景もあって、湘北短大は1974年の開学当初から社会体験教育に力を注いできた。学生が企業などで実際に就業体験を行うインターンシップについても、これまでに1000人を超える学生が体験している。
 同短大のインターンシップ制度は、生活プロデュース、総合ビジネス、情報メディアの3学科で実施され、生活プロデュース、総合ビジネスの2学科では選択科目として単位も認定される。
 インターンシップは春季休暇中の2〜3月に行われ、1年生の3割近い約130人の学生が参加する。実習期間も2週間程度の短期から、1カ月半にわたる長期まで実施。
 派遣企業もソニーグループの企業を中心に、製造業、サービス業、卸売・小売業、ホテル・観光業、情報・通信業、建設業など多岐にわたっている。「1カ月以上にわたるインターンシップを実施している短大は全国でも珍しいと思います。長期の派遣先はソニーグループになりますが非常に協力的です」と、キャリアサポート課の近藤章雄課長は語る。
 このような多様なインターンシップを全学的に運営する組織として、98年度にインターンシップセンターを設置。教員を主体に就職・総務関連の職員も加わって、学生の希望や適性に応じた派遣先企業の開拓やマッチング、事前研修や報告会などを実施している。

学内外から受注して実際の業務を遂行

 インターンシップと並んで、湘北短大の社会体験教育のもう一つの柱となっているのが、02年度から開始されたユニークな取り組み「SHOHO」だ。SHOHOとは、Shohoku Hands‐on Officeの略で、SOHOにちなんで命名された。「商法」や「初歩」の意味も含んでいる。
 SHOHOは、有志の学生が擬似会社的なチームをつくり、学内外から受注した実際の業務を遂行する活動で、いわば「学内インターンシップ」ともいうべき性格を持つ。
 SHOHOへの参加を希望する学生は、まず学内ウェブ上でSHOHOコミュニティにメンバー登録する。そして、ウェブ上に公開された顧客からのテーマ候補の中から、興味を持ったものについて学生同士が3〜10人のプロジェクトチームを結成、企画提案書を提出し、発注側の意図や予算に合えば実行に移す。プロジェクト終了後は、活動内容を記した報告書提出が求められ、同時に活動経過や成果を報告する活動報告会も行われる。昨年は約80人が登録した。
 教職員による「SHOHO支援チーム」が予算や実際の作業方法へのアドバイスなど、様々な形で学生の活動を支える。これまでに地元の厚木市商工会のホームページ制作、就職活動入門用CD―ROMの作成、牛乳パックのリサイクルによる手作りカレンダーの制作など16のテーマで活動。
 「実行に当たっては、予算・期限・企画目標をきっちり検討します。短大側が要求する内容にかなうものを、これだけの予算で、この時期までに仕上げるように、と指示するわけです。企画提案書でこの三つがあいまいだとゴーサインは出しません」と支援チームの一員である生活プロデュース学科の岩崎敏之助教授は言う。
 SHOHOの活動に参加した学生の満足度は高い。「知識やスキルが向上しただけでなく、チームワークの意義や難しさ、期限内に完遂することの大切さを知った」「コスト感覚、行動意欲、発表能力などを養うことができた」といった感想が出ており、自らの力で困難を乗り越えた達成感に喜びを覚えるようだという。
 「最近の学生は主体的に行動しないといわれますが、実際は皆『何かをやりたい』と思っています。ただ、その手がかりや方法を見つけることができないだけです。これらを提供し、学生が能動的に取り組める機会を与える場がSHOHOなのです」


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