ベネッセ教育総合研究所
教育力の時代
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現場で感じた面白さを授業に反映、教員の意欲の高さが牽引力に

 同課程では、一般教養科目や芸術教養科目をそろえた総合教育科目から40単位以上を、各コースごとに定められた専門教育科目から60単位以上を履修するが、そのうちスクーリングは30単位以上を課される。
 学外スクーリングは、総合、専門教育科目の両群に設けられている。総合教育科目の中には、地域の芸術資源を体験・観察することに主眼を置いた「地域文化演習」「芸術環境演習」「芸術特殊演習」などの科目群がある。これらは「芸術環境研究プログラム」と呼ばれ、今年度は各2〜6日間の日程で、42講座を約35カ所で開講する予定だ。専門教育科目では、陶芸コースの場合、陶芸演習を備前、九谷、萩など焼物の産地で開講し、土をこねたり、地元の陶芸作家と交流するなど、より専門性の高い内容になっている。
 キャンパスでの開催の分も含む全スクーリングの開講数は約900。このうち学外スクーリングは約250講座で、開講地は函館から東京、沖縄、イタリア、韓国まで国内外を合わせて約55カ所にも及ぶ。開講数が多いのは、社会人が自分の都合に合わせて学べるよう、各科目について週末、夜間など様々な開講日時を設定しているためだ。
 同課程開設当初のスクーリング開講数は72講座で、そのほとんどがキャンパスでの授業だった。学外スクーリングを導入したのは2、3年目から。初年度には当初の予想を上回る学生が集まり、科目数を拡大する必要性に迫られたのが一つのきっかけとなった。一方で、学生からも「専門的な知識や技術を高めるだけではなく、もっと知見を広げたい」「新しいものの見方や考え方にふれたい」といった要望が、手紙やアンケート調査で寄せられた。
 そこで、各地の文化財を訪ねるなど、通学部の一部の教員が手がけていた学外講座を手がかりに、学外スクーリングを導入。学生から好評だったことに加え、教員自身もこの試みに可能性を感じ、急速に拡大していったのだという。
 「学外スクーリングの講座数の全体枠は決まっていますが、その範囲内ならば教員が比較的自由に企画することができます。現地で知り合った漆職人を講師に招くなど、学生と話しているうちに新たな企画が生まれ、現場で感じた面白さをそのまま授業計画に反映できる醍醐味があります。しかも工夫をしただけ学生からの反応もしっかりと返ってくる。主任教授クラスの教員ほど、積極的に取り組んでいます」と、上村教授。


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