ベネッセ教育総合研究所
キャリア教育再考
 
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学生は「必要な力」を自覚

 図表は、大学2年生に15の活動内容を示し「入学後からこれまでにどれだけ力を入れたか」「今後どれだけ力を入れていきたいか」という二つの質問に答えてもらった結果である。「かなり力を入れた」「かなり力を入れたい」〜「入れなかった」「入れたくない」の4段階で回答してもらった(IPUコーポレーションの2年生向けアセスメント「自己プログレスレポート」データ)。

図表

 力を入れた活動内容では、「友達をつくる」「自己責任能力を身に付ける」「クラブ・サークル活動」が上位になっている。大学生活に適応していくための活動だ。今後力を入れたい活動を見ると、「自己責任能力を身に付ける」「幅広い教養を身に付ける」「文章作成能力を高める」が上位になっている。きちんと先を見た上で何を身に付けなくてはいけないのか、何となくではあっても学生なりに理解していることが分かる。
 しかし、ではどうしたらそれらの力が身に付くのか、そのために自分は何をしたらいいのかが分からず、結局、何もせずに時間を過ごしてしまう。そして、いざ就職活動の段階になって、「やらなくちゃいけないと分かっていたんですけど」と、自分の努力不足を責めることになってしまう。これでは学生がかわいそうだ。キャリア教育の役目は、学生の意欲を引き出し、それを実現させるための道筋をつけてあげることであろう。
 しかし、言うは易しである。どのようにすればそれが実現できるのか分からない。だからこそ、できるつもりにも分かったつもりにもなってはいけないのだ。
 キャリア教育はブームである。ブームは本質を見失わせ、しばしばその目的をダメにする。キャリア教育をブームで終わらせてはいけない。そのためには、そこに関わるすべての人間が、常に謙虚にそして地道に学生と向き合い、彼らが求めるものを差し出す努力を重ねることが大切だ。この連載で私が伝えたかったことは、この点である。最後に、この連載に対して、多くの方から様々なご意見ご感想をいただいた。今後に生かしていきたいと思っております。ありがとうございました。



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