| 高度情報通信社会における個人の権利・利益を保護するため、2005年４月から「個人情報の保護に関する法律（個人情報保護法）」が全面施行された。大学は「個人情報取扱事業者」として、個人情報の取り扱いについて新たな義務を負うことになる。在学生や受験生、教職員など多様な個人情報を扱う大学は、今後、どのような認識と対策が必要か。管理・運営体制の構築の方策を探る。 |
７割の大学が05年度から個人情報保護の対策を検討・開始
―（社）私立大学情報教育協会のアンケートから |
| 2005年度からの個人情報保護法全面施行を受けて、個人情報取扱事業者である私立大学も、学生などの個人情報の取り扱いに関して法的な規制を受けることになった。プライバシー保護や情報セキュリティ強化などに関する大学の取り組み状況について、（社）私立大学情報教育協会のアンケート調査をもとに報告する。 |
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危機管理プランに高い関心
アンケートは（社）私立大学情報教育協会（私情協）の加盟大学340校に対し、同協会の専用サイトを通じて04年11月１日～10日に行われ、248校（72.9％）が回答した。
調査結果によれば、個人情報の取り扱いについて、技術対策、運用対策、組織・規定対策など何らかの取り組みを、「すでに実施済み」と回答した大学は68校（27.4％）、「05年度から実施予定」は105校（42.8％）、「05年度から検討開始」は65校（26.2％）、「検討予定なし」は10校（4.0％）だった。検討も含め、個人情報保護法への対策は05年度からという大学が７割近くを占める。
個人情報保護に関する具体的な対策について、「実施済み」「05年度から実施予定」と答えた１73校に聞いたところ、04年度中に実施（11月のアンケート時点での実施予定も含む。以下同）したものとしては、「個人情報へのアクセス権限の設定」（78.6％）や「技術的な対策の強化」（78.0％）の割合が最も高く、次いで、セキュリティ強化のための学内規定を整備したり、個人情報の管理責任者を明確にするなど、運用面での対策が目立った（図表１）。まずは個人情報そのものへの接触を制限し、取り扱いルールを明確化することで、個人情報を保護しようとしたことがわかる。
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05年度から実施する対策で最も多かったのは「危機管理プランの策定」（45.1％）で、「罰則規定の整備」（39.9％）、「アクセス状況の監視」（37.0％）と続く。今後は、不正な取り扱いが生じないように、個人情報へのアクセスを監視した上で、問題が起きた時に被害を最小限に食い止める手段や体制を構築しようとしていることがうかがえる。不要になった個人情報の廃棄の徹底や、教職員への啓発活動への関心も高い。なお、「05年度から検討開始」と回答した65校では、今後の対策として学内規定など制度面の整備を打ち出した大学が多かった。
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