ベネッセ教育総合研究所
特集 問われる個人情報の保護と活用法
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請求にはすみやかに開示

― 入試成績や入学後の成績評価などの情報を本人が確認したいという場合は、どんな判断が必要になりますか。

宇賀
 個人情報保護法では、本人が自分の個人情報を見せてほしいと請求する権利を保障しています。学生や受験生から開示請求があれば、すみやかに開示しなくてはなりません。一部、非開示にできる場合が規定されていますが、本人の情報なのですから、開示することが原則となります。また、開示を受けた本人が内容について間違いを指摘した場合、訂正にも応じなくてはなりません。

― 個人情報は、その人のものだというわけですか。

宇賀
 その通りです。これまでは取得した側のものだという意識があったように思います。しかし、この法律が言わんとしていることは、個人情報はあくまでも本人のものだということです。個人情報を取得した側は、その情報を預かっているだけですから、慎重に扱わなくてはなりません。個人情報は取得した者のものという意識は根本的に改める必要があるでしょうね。

― 法律に対応するために、大学は何をしなければならないのでしょうか。

宇賀
 まずはプライバシーポリシーをつくり、その大学が個人情報をどう考えているのかを公にする必要があります。次にその取り扱いについての規定を、法律や文部科学省の指針などに則った形で整備しなくてはなりません。さらに、個人情報管理者を置き、教職員に対する研修も実施しないといけません。管理している個人情報のセキュリティ対策も重要です。法律には抽象的なことしか書いてありませんが、セキュリティに関しては様々なガイドラインなどを参考にして、徹底的な対策を施す必要があります。あとは、現在保有している個人情報について、利用目的を具体的に特定し、必要のない個人情報はすぐに廃棄するようにすべきです。


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