ベネッセ教育総合研究所
社会人大学院の最前線 第1回分野の融合
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採算を度外視して、少数精鋭の教育を実践

 「ベンチャー企業を興すためには、やはりある程度の企業経験が必要」との考えのもと、アントレプレナー専攻は社会人のみを対象としている。2年の修業年限の中で、ベンチャーの起業に必要な徹底した実践教育を行うため、定員は20人に絞り込んだ。
 「優秀な人材を個人指導で育てていかないと、よい経営者は生まれないというのが、片柳理事長や相磯学長の考え方です。この考えを反映し、アントレプレナー専攻でも、徹底した少数精鋭教育を行うため、採算を度外視した定員にしました」(軽部教授)
 しかし、開設初年度の05年は、予想以上に優秀な人材が集まったため、定員の約1.5倍に当たる31人を合格させたという。入学者の年齢は30代後半から40代前半が中心で、大企業の部長クラスや外資系の投資会社に勤務している人など多彩な顔ぶれが揃ったという。「全般的には技術畑出身の人が多いですね。しっかりとした技術的バックグラウンドを持っているため、ダブルメジャーとして経営や知財の知識を身につけて、起業を目指すということでしょう」と軽部教授。
 選抜は書類審査と面接のみで行われた。重視したのは「起業家マインド」と「向学心」。ハイテクベンチャーの起業には、強いモチベーションと、経営戦略やマネジメント、知財などを積極的に学ぼうという高い向学心が何より必要だからだという。
 教育・研究を支える教員スタッフには、企業経営や先端技術、知財、ナレッジマネジメントなどの分野の専門家が揃っている。また、専門科目にオムニバス科目を設定し、講師として、第一線の企業人も招聘するなど、指導体制の充実が図られている。
 優れた教員スタッフを集めるには、人脈や相応の資金が必要で、専門職大学院をはじめ社会人を対象とする大学院はどこも苦労している。この点について軽部教授は、「招聘する側に、どれだけ高い志と熱意があるかにかかっています。ある程度の研究環境を用意してすべて任せると言われれば、心を動かされる人は少なくないはずです」という。


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