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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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[テーマ2] 現状から大学の課題を探る

学生募集マーケット

2010年度入試志願者動向と
今後の学生募集環境


2010年度入試は、18歳人口の減少が一時的ながらようやく止まり、志願者減少局面の踊り場といわれる。
しかし、地域別、難易度別などで志願者動向を分析すると、さまざまな変化が見える。
2月中旬時点での集計分析(回収率は前年の延べ志願者数の約75%)を基に報告する。

センター試験の出願動向

 2010年度大学入試センター試験(以下、センター試験)の出願者総数は2009年度より9387人(1.7%)増の55万3368人。内訳をみると、高校等卒業見込者(現役生)は前年度より8885人増の44万148人、対前年度比で102%となった。
 これは、9年ぶりの18歳人口の増加と、現役生のセンター試験志願率の上昇によるものである。また、センター試験利用方式を採用する私立大学は既に85%を超え、センター試験出願は大学進学において、極めて一般的な選択になりつつある。
 センター試験の結果は、2010年度までの10か年で、最も低い平均点となった。2009年度入試と比較して、文系(6教科7科目型900点満点)で平均点7.7点下降、理系(5教科7科目型900点満点)で29.1点下降。特に、理系の平均点は1990年のセンター試験スタート以来の低水準を示した(Benesse・駿台データネット実行委員会集計より)。
 この結果を受けて、ポイントを2点挙げる。1点目は、理系(5教科7科目)が文系の平均点を下回ったことである。一般的に、数学、理科などの科目では文理の得点差がつきやすく、例年、平均点で1020点前後、理系が高かった。今回は、理系の選択科目を中心に平均点が下がり、文理で逆転が発生した。その結果、得点が伸び悩んだ理系受験生の慎重な出願傾向が見受けられる。入試結果調査の分析が待たれるが、国公立大学への出願は、より慎重を期して、合格可能性を考慮した安全志向であったことが推測される。
 2点目は、センター試験利用方式による私立大学出願(併願)を考える受験生が増加したことである。私立大学におけるセンター試験利用方式全体の志願者数は、2009年度との比較では指数107と、一般入試前期の志願者指数101を上回る。センター試験利用方式は前期A方式(対前年指数108。以下同)、B方式(104)共に、志願者が大幅に増えた。B方式での増加は、センター試験の得点をふまえて、合格可能性の高い大学へ積極的に出願した結果と推測される。

図表1:私立大学・入試方式別志願状況

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