選択する際の留意点は3つある。1つ目は、領域ごとの複数の評価手法を組み合わせることである。連載第2回で、DPを「知識・理解」「技能・表現」など5つの領域別に策定することを説明した。例えば「知識」の達成度を示すには、レポート、テスト、口頭発表などが適している。「技能」であれば、実験や実習などが適している。複数の領域のDPを設定すれば、評価方法も複数になり、客観性を高めることができる。
2つ目は、形成的評価(プロセス評価)と総括的評価(アウトカム評価)を使い分けることである。形成的評価とは、学習成果形成過程の改善のための評価等のことをいう。学年の終了段階ごとの評価がこれにあたる。総括的評価とは、学習成果を総括的に把握するための評価のことをいう。卒業段階に行う評価等がこれにあたる。外部評価では総括的評価が求められることが多いが、過程を丁寧に評価する形成的評価も大切にしたい。
3つ目は、評価主体を使い分けることである。評価主体を大きく区分すると、学生本人が行う自己評価、本人以外が評価主体となる他者評価がある。他者評価は、さらに教員(授業担当教員、ゼミ担当教員、第三者的教員等)、第三者(インターンシップ・実習等の受け入れ先関係者、教育関係企業等)、他の学生による評価に区分される。
カリキュラム評価を行う意義は、組織、教員それぞれにある。組織にとっては、カリキュラムの強みと弱みが明確になり、改善に向けた検討がしやすくなる。優れたカリキュラムの把握は、教育系外部資金の申請時等にも役立つ。
個々の教員にとっては、カリキュラム評価を通して、DPやCPを繰り返し意識することになり、ベクトルを合わせて教育に取り組むことができる。方向性を一致させ、適切に業務を分担することによって、効率化が図られる。
また、カリキュラム評価は、学生の学びを促進する機会にもなる。例えば、「2年次アンケート」や「卒業時アンケート」に答えることによって、それまでの学習を振り返り、自身の成長とその後の課題を認識することができる。
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