VIEW21 2000.10  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 10月からの受験指導

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■part 3■ 11月までの学習指導
基礎固めを終わらせる最後の機会

 本来なら、秋口までに基礎固めは終わっていることが望ましい。学習が順調に進んでいる科目については、個別試験対策に入って、過去問や演習問題に取り組ませたい。
 ただし、基礎が完成していない科目は、演習問題に取り組んでも効果が薄い。難しい問題に歯が立たず、かえって焦りを募らせる危険がある。生徒に学習の進み具合をしっかり把握させ、基礎が十分できるまでは遠回りに思えても基礎固めをしっかり続けさせる。
 基礎固めの勉強を家でする場合、教科書と併用して、実力に合った参考書や問題集を使うとよいだろう。教科書は全体像をつかむには適しているが、章末問題について解答や解説がなく、一人で学習を完結させられない。解答(略解でなく、きちんとした解答)と解説が詳しく書いてある参考書や問題集を併用することで、効率よく知識を身に付けさせたい。教師側からふさわしい参考書を例示してもよいだろう。使い方は例題や基礎問題を解いてみて、解けない問題は解答と解説を読む。そして、もう一度その問題に挑戦する。これを繰り返して、その分野の問題の解き方のパターンを覚えていく。
 2学期は、国数英中心の学習から地歴、公民、理科にも比重を置いた学習に変えていく時期でもある。本格的に地歴、公民、理科の受験勉強をするのが初めての生徒の場合、どれくらい学習時間を充てればよいか分からないことがある。まず、実際にその科目の特定分野(あまり取り組んでこなかった分野)を勉強させてみて、日本史ならどれくらい、物理ならどれくらい、時間が必要か見当を付けさせる。そこから逆算して、必要なら国数英を含めた学習時間を修正させていく。

■part 4■ 11月までの進路指導
弱気になる生徒に憧れ校を諦めさせない

 10月までには漠然とした「志望校」から、入試を意識した「受験校」へと照準をはっきりさせる。センター試験の出願が締切となるので、センター試験利用私立大の受験も含め、最終的な受験校を考えさせる。受験校決定に対する姿勢、意識は生徒によって様々なので、面談などで個別に対応したい。
 受験校決定までの指導で重要なのは、憧れ校を諦めさせないことだ。模試の結果が思わしくなかったり、受験勉強が思うように進まないと、志望校の難易度を下げたり、国公立大から私立大へ志望を変えようとする生徒が出てくる。弱気になっている生徒には「センター試験まで頑張ろう」「現役はまだ伸びる」と励ます。進路指導の要点は生徒の可能性を広げてやることだ。成績面で合格が難しい志望校でも、「その大学は諦めた方がいい」という言い方は避けたい。逆に、模試の成績が良い生徒に対しては気を引き締めさせることも必要だろう。
 希望を持たせて頑張らせる一方、憧れ校に失敗した場合の現実的な選択(併願校)も考えるように仕向ける。受験校の幅を広げるのは、戦略として大切なことだ。ただし、国公立大は受験できる数が決まっているので、併願パターンは慎重に検討したい。私立大については、生徒の希望に沿って、できるだけチャンスが広がるように受験校を決める。
 受験校について保護者の理解を得ておくことも大切だ。受験ぎりぎりになって保護者の反対にあっては、勉強に集中できない。特に地元を離れた大学を志望する場合、経済的な問題だけでなく、子どもを遠くへやりたくないという親の心情も絡んでくる。早い段階で保護者の同意を得るよう生徒に伝えておく。


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