ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
学生の変化に大学教育はどう対応しているか
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モラトリアム志向、同調志向が高まり、学習意欲が低い学生たち
 近年、多くの高校が生徒の変化に直面しているのと同様に、大学においても学生の変化が深刻化しつつある。第一志望大に入学したにもかかわらず、学習に打ち込むことができない学生や、授業には一応出席するものの、主体的な研究活動を行えないなど「学びに向かいにくい」学生が増加しているのである。
 この変化は、データからも裏付けることができる。ベネッセ教育総研の大学進学理由に関するデータ(図1)によると、専門知識や技術の修得、学問研究の目的で大学に進学する学生が減少傾向にあるのに対し、「自由な時間を得るため」や「すぐ社会に出るのが不安だから、とりあえず進学する」「先生や家族が勧めるから」といった安易な理由で大学に進学する学生が増加傾向にある。つまり、「学びに向かいにくい」学生が増加しつつある背景には、そもそも学びを目的として大学に進学する学生が減少している、という事実が指摘できるのである。「何となく」という無目的な進学も、増えてはいないものの2割程度存在しているという事実も見逃せない。
 そして、このような動機で大学に入学した学生は、往々にして大学生活全般に対する満足感も抱きにくい。図2は、大学生活に対する満足度を進学動機別に見たものであるが、「学び志向」の学生に比べて、学びを主な進学動機としない学生は、大学の授業・教育システムや教員に対してのみならず、自分の人間的成長の実感度合いも含め、学生生活全般において満足度が低いことが分かる(図2は、全国の大学の平均について見ているが、個々の大学についても同様の傾向がある)。
図1、2
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