ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
学生の変化に大学教育はどう対応しているか
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学習意欲の減退によって大学側と学生側に深刻なギャップが生じる
 このような学生が増加したことによって、大学教育にはどのような影響が出ているのだろうか。
 まず、授業出席率の低下やゼミ形式の講義が成立しにくくなっている。「自ら学ぶ学生」のために開講されている大学の講義の多くは、学生の自発的な参加意欲を暗黙の前提として成立していることが多い。しかし、学生の学習意欲の減退に伴い「ゼミが成立しない」「学生からの反応が鈍い」といった大学人の声が少なからず聞かれるようになった。また、学年が上がり、研究室に所属するようになっても、卒論や卒業研究のテーマを決められない学生も少なくないという。これでは学びの場としての大学の意義が揺らぎかねない。
 一方、学生個人レベルで問題となるのは、授業不適応からくる不登校や中退の問題であろう。OECDデータベース教育指標2000によると、日本の大学生の中退率は約11%に達しており、もはや中退という選択肢は特殊なものとは言えなくなっている。図3に、大学入学後の生活にイメージギャップを感じる学生の割合とその推移を示したが、入学後に「イメージギャップを感じた」と回答する学生は年々増えており、01年には7割を超えるに至っている。大学中退予備軍が、かなりの比率で存在しているのだ。
 これらのデータから見えてくるのは「学習目的で入学し、主体的に学びに向かう」ことを学生に求める大学側と、「周囲に流されて、モラトリアム確保のために」入学してくる学生側との深刻なギャップである。そこで、近年は国公立大においても、学生の学ぶ意欲を高める取り組みが積極的に推進されるようになってきた。
 ここでは、具体的な事例として、北海道大の取り組みを見てみたい。
図3
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