ベネッセ教育総合研究所
特集 広報が学校を活性化する
PAGE 2/15 前ページ次ページ


広報活動の決め手は「なぜするのか」を明確にすること
――広報活動の具体的な手段として、多くの高校がWEBページを作ったり、保護者懇談会の機会を設けたりしていますが、今ひとつ地域からの反応が物足りないという思いを抱いている高校も多いようです。情報発信の際、留意すべき点は何でしょうか。
 効果的に情報発信をする上で重要なことは、丁寧に教育内容を伝えると共に、「なぜそれをするのか」という学校側の狙いや思いをしっかりと伝えることです。なぜその取り組みが必要なのか、なぜそれが学校の特色なのかを説明することで、サービスを受ける中学生やその保護者が抱く疑問や不安を先取りして解決するわけです。更に大切なのは、その結果として具体的にどのような教育効果があるのかをはっきりと示すこと。生徒の学力の伸びを示すデータや、部活動と学業を3年間両立させた生徒の体験談などを具体的な成功事例として紹介するのです。何を、なぜするのか、その結果どうなるのかを一つのまとまりとして伝えることが重要です。
 また発信する情報は、受け手にとってできるだけリアリティが感じられるように工夫するとよいでしょう。ある高校では、生徒全員の「成長の記録」を作って3年間の学習、生活の軌跡を把握し、中学校を訪問した際にデータを示しながら「御校から来た生徒は、このように頑張っている」「御校の生徒は卒業後にこういう分野に進んでいる」などの具体的な情報を提供しています。「本校の」ではなく「御校から来た」の方が、中学校にとってはリアリティがありますからね。
――情報の受け手の立場に応じて身近なデータ、興味や関心の高い情報を精選して提供する工夫も必要だということですね。しかし、アンケートやWEBページ作成には、相当な労力が必要です。現に、広報活動に力を入れている学校では、担当の先生の負担が大きくなっているという声も聞かれます。
 新しいことを始めようとすると、どうしても初期段階は負荷が大きくなります。ただ1、2年目と同じ作業を5年後、10年後にも一からするということであれば大変ですが、ある程度軌道に乗ってノウハウが定着すれば、徐々に負担は減っていくはずですし、場合によっては自然と情報が集まるようにもなります。
 例えば、アンケートは1回作れば2回目以降はそれほどの労力は必要ありません。質問項目も、高校現場に不可欠な情報は質問項目として毎年設定し、その他は年度ごとの課題・テーマに沿って質問項目を付加するという風にメリハリをつけることもできます。初期段階から、どうすればこの作業を減らすことができるのかを考えながら準備をしていくことが理想的だと思います。
小松 郁夫


PAGE 2/15 前ページ次ページ
トップへもどる
目次へもどる
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse